Copilotに「大企業で出世する人の特徴」を聞いてみたら、次の5つが出てきましたが具体性に欠けてリアリティがありません。
・変化への対応力
・コミュニケーション能力
・リーダーシップとチームワーク能力
・社内ルールを細かく守る
・目標志向と管理能力
この記事では、もっとリアルなお話をしましょう。
※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング
②大企業(JTC)にお勤めの若手サラリーマンの方
②大企業(JTC)で出世するためのリアルな2つの必要条件とは?
大企業(JTC)で長年の勤務経験がある筆者が、大企業(JTC)で出世するためのリアルな2つの必要条件について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
大企業(JTC)の出世メカニズム
本題に入る前に「大企業(JTC)の出世メカニズム」に触れておきます。
最初に、夢も希望も無い不条理な現実をお話ししますが、日系大企業(JTC)では、単に業績だけでは昇格できません。
大企業(JTC)には、その共同体的な企業文化に深く根差した出世メカニズムが存在します。
大企業(JTC)の出世メカニズムは以下のように、入社時と入社後2つのメカニズムが存在します。
【入社時】学歴などによる社員の選別
【入社後】忖度することで、上司に上に引き上げてもらう
入社時に、学歴や性別、上層部の「カンや好み」などで、新卒一括採用された新入社員は選別され、「本社組」「支社組」などいくつかの身分に振り分けられます。
その後は、それぞれの身分に応じた最高ポスト(社長、役員、部長など)を目指して、出世レースが始まります。
JTCの出世は、上司との人間関係が全てです。
要するに、出世するには忖度を通じて上司と良好な関係を築くことにより、上司に上に引き上げてもらうしか方法はありません。
詳しくは、大企業(JTC)の出世メカニズム|出世の代償と出世しないという選択肢をご覧ください。
ちなみに、Googleでは人事評価の公平さを確保するために、複数の評価者によるフィードバックを導入しています。
上司一人が、部下を評価する日本企業とは大違いです。
Googleではこのように、上司と部下の個人的な関係で人事を動かすことはできない仕組みになっています。
今や年功序列で、だれもが昇格できる時代ではありません
古き良き時代である経済成長期には、企業組織も拡大基調でありポストも増え、年功序列もそれなりに機能していました。
ところが、ここ30年、日本経済はまったく成長していません。
成長どころか、2012年に始まったアベノミクス以降は名目GDPのマイナス基調が続いています(下のグラフ参照)。
これでは、企業組織も縮小基調でありポストも減るため、年功序列は「名ばかり」の状態です。
大企業(JTC)で出世するためのリアルな2つの必要条件とは?
必要条件1:高学歴な男性
企業は表向きには決して本音はいいません。
表向きは真逆のことを言います。
「学歴ではなく人物重視」「ダイバーシティ経営で女性を含めた人材の多様性を尊重」
これ真っ赤な嘘で、すべて「なんちゃって」です。
まず学歴差別から解説します
そもそも大企業(JTC)には学歴フィルターがあるため、就職するにはある一定レベル以上の学歴が必要です。
大企業(JTC)に学歴フィルターがある理由は以下です。
さらに入社時に、例えば偏差値70以上は「本社組」、それ以下は「支社組」(官僚組織のキャリア組、ノンキャリ組みたいなもの)に選別され、下位身分の者の出世の範囲は限定されてしまいます(企業によっては文系・理系による差別や卒業学部・学科による差別もあります【関連記事:【就活】大企業(JTC)の知られざる身分制度【経験者が実態を解説】】)。
次に性差別です
性差別につては、国際比較のデータを見れば一目瞭然です。
男女間の社会的な性差を示す日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中、118位(2024年)と相変わらず低迷(下表参照)を続けています。
しかも日本のジェンダーギャップ指数は、2006年第1回の115カ国中80位から、その後も低下基調なのです(下のグラフ参照)。
引用:【ジェンダーギャップ指数】日本、2024年は世界118位で低迷続く
世界情勢の改善に取り組むことを目的とした国際機関「世界経済フォーラム(WEF)」は、「現在のペースでは、完全なジェンダー公正を達成するまでにあと134年かかる。これは、5世代分に相当する」と日本の性差別について指摘していますが、こんな状況ではそのように指摘されても仕方ありません。
さらにもっと具体的なデータを見てみましょう。
以下は、主要先進7カ国の女性管理職比率です。
先進7カ国の中で、最も高いのは「アメリカ」で39.7%、これは世界で36位に相当します。
次に「イギリス」が36.5%で、世界では50位。
「カナダ」「フランス」「ドイツ」「イタリア」が続き、「日本」は14.7%で先進7カ国中ダントツ最下位。
世界では167位という衝撃的な順位になっています。
1985年に男女雇用機会均等法が施行され、男女平等は保障されたにもかかわらず、管理職の男女格差は大変大きなものになっています。
大企業(JTC)に性差別が無いなんて、真っ赤な嘘と言わざるを得ません。
稀に「支社組」や女性が出世することはありますが・・・
「支社組(ノンキャリ組)」や女性が、会社への忠誠や上司への忖度を駆使して、稀に分不相応な出世を遂げることがありますが、これには組織権力の狙いがあります。
身分制度については、その存在を皆がうすうす気付いていきますので、身分が下位の人達は徐々にやる気が無くなっていきます。
そこで、「頑張れば、もしかしたら自分もああなれるかもしれない」と思わせ、組織権力への忠誠を再認識させて求心力を強めるのが狙いです。
言ってみれば「逆スケープゴート」もしくは「逆さらし首」です。
下位の身分の中に特権階級をつくることが権力強化の常套手段
白人が黒人奴隷の中に特別待遇の黒人(野心があり白人に特に忠実な黒人奴隷)を選び出し、その人物に他の黒人奴隷を支配させることによって、白人の権力をより強めることがありました。
「支社組(ノンキャリ組)」や女性の中から野心があり特に会社に忠実な者を選び出して、出世させるのも権力強化が目的です。
必要条件2:どんな上司にでも服従できる忍耐力の持ち主
既に解説しましたが、入社後の出世メカニズムは以下です。
【入社後】忖度することで、上司に上に引き上げてもらう
どんなに立派な成果をあげても、上司がそれを評価しなければ何の意味も無いのが、日系大企業(JTC)という共同体の不条理な掟(おきて)です。
成果の評価は、自然現象ではありません。
成果の評価は、人間が恣意的に行う社会的な行為です。
会社組織に限らず日本社会は理不尽なことが多い社会です。
日本の場合は、その道の権威が評価しなければ世間から評価されませんので、海外で評価されても日本では評価されないこともたびたびです。
日系大企業(JTC)も全く同じです。
組織権力が「カンと好み」で優秀と評価すれば、どんな無能な者でも優秀なのです。
JTCは恵まれた経営資源と堅固な現状維持体制が構築されているので、「すごろく上がりのサラリーマン社長」に、そう言った無能な者が就任しても会社の業績は変わりません。
話は少々脱線しましたが、JTCはこのような不条理な世界ですので、出世するにはどんな上司にも服従できる忍耐力が必要なわけです。
筆者はとても無理でしたが(笑)。
出世とは精神の屈辱を伴うものです
以下、福永光司著『荘子』から引用します。
世間的な栄達などは、権力者の尻の穴の痔を舐めるような精神の屈辱のなかで得られるものだ。
そして、その屈辱を穴埋めするために、上司は部下を高圧的に支配したがるのです。
部下に 嫌われる上司が出世する理由の本質がこれです。
まとめ
✔大企業(JTC)で出世するためのリアルな2つの必要条件とは?
必要条件1:高学歴な男性
必要条件2:どんな上司にでも服従できる忍耐力の持ち主