2015年に不適切な会計処理の問題で、東芝の三人の歴代社長が辞任し、起訴されるという前例のない事態が発生しました。
この不適切な会計処理の問題は、短期的な利益の向上を目指す経営陣からの繰り返しの指示によって引き起こされたとされています。
まさに経営者による「なんとかしろ!」の典型例です。
東芝は、投資ファンドの日本産業パートナーズが主導するグループによって非上場化され、2023年12月に株式市場からの撤退が決定しました。
この買収により、東芝は74年間の株式市場での歴史に幕を閉じることになり、現在、巨額の債務返済と成長戦略の両立に取り組んでいますが前途多難です。
いくら大企業(JTC※)でも、東芝のように経営者が「なんとかしろ!」なんていう根性論を押し付ける会社に留まることは、現代のようなポスト工業社会では逆に危険なことです。
※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング
この記事を読んで、あなたの今後のサラリーマン人生に対する価値観を再確認するきっかにしてください。
②経営者が「なんとかしろ!」としか言えない大企業(JTC)の末路とは?
JTCでの長年の勤務経験がある筆者が、JTC経営者が「なんとかしろ!」としか言えない理由と会社の末路について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
大企業(JTC)の経営者が「なんとかしろ!」としか言えない理由とは?
答えは簡単なことです。
大企業(JTC)の経営者と言われている人たちは、実のところ「経営のスペシャリスト」ではないからです。
彼らは、しいて言えば、「権力を振りかざす、自己保身に取りつかれた単なる管理者」なんです。
彼らが経営者に昇りつめることができたのは、経営的な手腕によるものではなく、学歴などによって選別されたエリート(選別主義)の間で繰り広げられる権力闘争の結果です。
彼らは、仕事を部下に丸投げし、自らの手を汚して仕事をしたことが無い「素人集団エリート・ジェネラリスト」です。
彼らのことを、筆者のブログでは「すごろく上がりのサラリーマン社長」と呼んでいます。
彼らは、経営という自分の役割を忘れ、手に入れた権力を使って、これまで社員に無理難題を押し付けてきた証(あかし)が、「なんとかしろ!」という言葉に象徴されているわけです。
遥か昔、1980年代以前の工業社会(つくれば売れる少品種大量生産の単純な時代)は、「なんとかしろ!」という根性論も機能していましたが、さすがに需要が飽和状態になってしまった現在ではもう無理です。
ポスト工業社会(GAFA時代)をけん引してきた外資系企業やメガベンチャーのCEOが「なんとかしろ!」なんて絶対に言いません。
かれらこそが、経営のスペシャリストなのです。
経営者が「なんとかしろ!」としか言えない大企業(JTC)の末路とは?
1980年代以前の工業社会であれば、まだ多少経済も成長していたので、賃上げやポスト増設は可能でした。
したがって、「なんとかしろ!」に応えれば、当時は「恩賞」も期待できました。
しかし、ここ30年はどうでしょうか?
日本経済は、下のグラフが示す通り停滞しており、名目GDPはまったく増えていません(増えるどころか、2012年に始まったアベノミクス以降は名目GDPのマイナス基調が続いています)。
引用:GDP4位転落 アベノミクスの通信簿だ | Nの広場 (nhiroba.com)
これでは、「なんとかしろ!」といっても恩賞(賃上げやポスト増)は期待できない状況です。
それを裏付けるデータが下のグラフです。
賃金水準は世界的に見て低い状態が続いています。
【OECD加盟国35カ国の平均年収ランキング】凡例:日本は赤、OECD平均は青
大企業(JTC)の経営者が、このように社員を大切にしなくても、これまで社員が黙って言うことを聞いていたのは、社員を奴隷化して会社に縛り付けておくための日本独自の雇用システム(終身雇用と年功序列)がなんとか機能していたからです。
しかし、今やその社員奴隷化システム(終身雇用と年功序列)も崩壊が始まっています(リストラや早期退職制度、そして役職定年制度の導入)。
この流れを反映して、昨今の日本の転職市場は活況を呈しています。
今や変革を嫌う大企業(JTC)に留まることが、かえって危険な時代になりつつあるのです。
経営者が「なんとかしろ!」としか言えない大企業(JTC)の末路とは、これまで無能な経営者をなんとか支えてきた有能な社員に転職されて見捨てられ、なんとか出来ないまま消えてゆく運命です。
日系大企業(JTC)の経営者が如何に無能かを示す世界時価総額ランキングの推移
30年以上前の成功体験から未だに抜け出せず、経営姿勢をパラダイムシフトできない日系大企業(JTC)の成れの果てです。
【世界時価総額ランキング TOP50 1989年と2023年の比較】
1989年TOP50に日本企業は32社。
30年ほど前は、日本企業が50位以内の6割以上を占めており、日本企業が世界の経済をけん引していたと言っても過言ではありませんでした。
32社の中には、今となっては懐かしい企業や、株式が上場廃止された企業(東芝)の名前もあります(2024年2月現在)。
2023年は日本企業0社
時価総額ランキング50位以内に日本企業は有りません(2024年2月現在)。
JTCの経営者が、相変わらず「なんとかしろ!」と言っているうちに、世界の経営環境は大きく変わりました。
まとめ
✔大企業(JTC)の経営者が「なんとかしろ!」としか言えない理由とは?
・大企業(JTC)の経営者と言われている人たちは、実のところ「経営のスペシャリスト」ではないから
・彼らは、しいて言えば、「権力を振りかざす、自己保身に取りつかれた単なる管理者」
✔経営者が「なんとかしろ!」としか言えない大企業(JTC)の末路とは?
今後は、社員奴隷化システム(終身雇用と年功序列)が機能しなくなる
⇒ これまで無能な経営者をなんとか支えてきた有能な社員に転職されて見捨てられ、なんとか出来ないまま消えてゆく