「うちの会社も50代を中心に希望退職を募るようだ」
「役職定年で給料もかなり減ったし、まったく仕事のやりがいも無し」
「この際、応募して割り増し退職金もらうか?」
「でも、この先どうしよう? 家のローンまだ残ってるし・・・😞」
こんなお悩み解決します。
※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング
②特に大企業(JTC)の50代は応募しない方がよい理由とは?
③応募しない場合の注意点~退職勧奨対策とは?
50代で不条理な異動を経験し転職を考えたものの思い留まった筆者が、【早期・希望退職制度の罠】特に50代は応募しない方がよい理由について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
早期・希望退職制度とは?
どこの大企業(JTC)も、バブル期に大量採用してしまった世代(2024年現在53~58歳)の余剰人員対策に苦慮しています。
そんな中、導入されているのが早期退職制度と希望退職制度です。
早期退職制度とは、従業員がある年齢を超えたら自主退職できる制度で、希望者を恒常的に募集します。
例えば、50歳以上になれば、一定のルールに基づいて増額された退職金を受け取り、好きな時に退職することができます。
この制度は、福利厚生の一環としての意味合いもあります。
一方、希望退職制度とは、企業が経営不振等の理由により人員を削減する目的で、限定期間内に退職希望者を募集する制度であり、一般にはリストラや「肩たたき」と呼ばれています。
普通は説明会が開かれ、次のような募集条件が提示されます。
・対象者(役職、年齢、勤続年数など)
・募集人数
・募集期間(通常は2週間から3週間)
・特別退職金(通常の退職金への上乗せ分)
・再就職支援
その後、個人面談が行われます。
自主退職に追い込みたいターゲットは既に絞られていますが、大っぴらにはできないので一応対象者全員と個人面談はします。
最初の面談で、自分がリストラのターゲットかどうかが分かります。
なお、再就職支援とは、リストラの対象となった社員に対して、職業紹介会社が行う再就職のための支援サービスですが、主目的はリストラ対象者のガス抜きや組合対策です。
リストラ対象者のガス抜きや組合対策が主目的なので、パソナやリクルートキャリアコンサルティングなど有名どころの職業紹介会社を使いますが、この支援で50代が再就職できることはまずありません。
役職定年制度は希望退職制度の布石
まず、役職定年で役職と部下をはく奪し、さらに給与を大幅に下げた上で、今までやったことがないような仕事に変えて、会社を辞めたくなるような精神状態に追い込みます。
そして、希望退職制度でしつこく退職勧奨※して自主退職に追い込む訳です。
※退職勧奨とは、会社が従業員に対して自主的に退職するよう促すこと
特に大企業(JTC)の50代は応募しない方がよい理由とは?
特に大企業(JTC)の50代は応募しない方がいい理由は、以下の理由により転職がほとんど不可能だからです。
①50代のサラリーマンはどこの会社でも余っている
②定年まで残り少ない人をわざわざ採用しない
③手持ちの求人案件が無いので、転職エージェントから相手にされない
詳しくは、【関連記事:50代転職は厳しい理由|転職は絶対やめた方がよい人と可能性がある人】をご覧ください。
バブル世代(2024年現在53~58歳)は、新卒時の就職市場が超売り手市場であったため、たいした就職活動をしなくても多数の内定を得た世代です。
そんな世代が多い50代でも、特に大企業(JTC)の転職経験が無い社員は、転職を簡単に考えがちです。
前職がどんな肩書であろうが、高学歴であろうが、どんな資格があろうが、状況は同じです。
中小企業への転職なら何とかなるだろうという考え方も大変危険です。
組織力、資金力、信用力やブランド力がない中小企業では、大企業出身者は無能で使い物になりません。
場合によっては、子どもの教育費や家のローンなどで、まとまったお金が一定期間必要な50代も多いはずです。
取引先への転籍が比較的可能な銀行員は別として、一般的な50代は職を失うと転職できず、地獄を見ることになります。
割り増し退職金に惑わされて、希望退職制度に応募してしまうと「朝三暮四※」では済まされなくなります。
※「朝三暮四」とは、目先の違いにとらわれて、結局は同じ結果であることに気づかないことを意味します。この成語は、宋の狙公が飼っていた猿に、朝に三つ、夕方に四つのドングリを与えると言ったところ、猿たちは怒りました。しかし、朝に四つ、夕方に三つと言い換えると喜んだという故事から来ています。
応募しない場合の注意点~退職勧奨対策とは?
まず頭の整理ですが、企業が雇用契約を終わらせる方法は以下の3つです。
①自主退職
②解雇
③合意退職(退職勧奨)
会社側にとって、「解雇」は違法性を問われてトラブルに発展するリスクがあるため避けたい方法です。
そこで会社側がとる常套手段が、「合意解約」です。
この方法は、退職勧奨による自主退職と言えます。
退職勧奨とは、会社が従業員に対して退職を促す行為で、従業員が自発的に退職するよう説得することを指します。
これは解雇とは異なり、従業員の同意を基に行われるものですので、退職勧奨を受けても、従業員は退職を拒否する権利があります。
以下に、退職勧奨対策を挙げます。
①退職の拒否は、はっきりと明確に意思表示する
②個人面談等は録音しておく
③弁護士に相談する
①退職の拒否は、はっきりと明確に意思表示する
平成23年の日本IBM事件の判例は、退職勧奨の対象となった従業員が会社の行った退職勧奨が違法な退職強要であると主張し、精神的苦痛による損害賠償を請求した事案です。
裁判の結果、従業員に対する退職勧奨行為は適法と認定されました。
理由は、退職の拒否が「消極的な意思表示」である場合は、翻意を促すこと(退職勧奨)は許容されるという判断です。
要するに、この裁判例によれば、退職勧奨が違法となるには、前提として、従業員が退職勧奨のための面談には応じられないことを「明確に」表明することが求められています。
②個人面談等は録音しておく
法的に争う可能性も視野に入れて、個人面談や上司とのやりとりは録音しておくことが必須です。
録音は、当事者の一方が録音する場合でも、通常、証拠として認められます。
録音はスマホアプリを使えば簡単です。
③弁護士に相談する
退職勧奨の度が過ぎる(不当な圧力や侮辱により強引に退職させる)と不法行為で損害賠償の可能性もあります。
例えば、「合意に至らなければ解雇する」という発言は、心理的圧力(脅し)による違法の可能性が高いと言えます。
嫌がらせ的な配置転換や転勤命令、あるいは仕事を取り上げてしまうのも違法な退職強要の可能性があります。
一人で悩ます、弁護士に相談することをおすすめします。
仮に合意退職となった場合でも、条件を吊り上げることが可能になるかもしれません。
なお、加入ている労働組合からの団体交渉の申し入れは、法律上、会社は拒否できない(団体交渉義務違反)ため本来は一番有効ですが、最近は御用組合※が多いため信用できません。
※御用組合(ごようくみあい)とは、雇用者側が実権を握っている労働組合を指します。これは、通常、雇用者による直接的または間接的な影響下にある組織で、労働者の自由な選出や活動が制限されていることが特徴です。御用組合は、労働者の利益よりも雇用者の意向に沿った活動をする傾向があり、国際労働機関によっては認められていない組織形態です。対義語は紅色組合であり、御用組合はしばしば「黄色組合」とも呼ばれます。
まとめ
✔早期・希望退職制度とは?
【早期退職制度】
従業員がある年齢を超えたら自主退職できる制度で、希望者を恒常的に募集している
【希望退職制度】
企業が経営不振等の理由により人員を削減する目的で、限定期間内に退職希望者を募集する制度であり、一般にはリストラや「肩たたき」と呼ばれている
✔特に大企業(JTC)の50代は応募しない方がよい理由とは?
以下の理由により転職がほとんど不可能だから
①50代のサラリーマンはどこの会社でも余っている
②定年まで残り少ない人をわざわざ採用しない
③手持ちの求人案件が無いので、転職エージェントから相手にされない
詳しくは、【関連記事:50代転職は厳しい理由|転職は絶対やめた方がよい人と可能性がある人】をご覧ください。
✔応募しない場合の注意点~退職勧奨対策とは?
①退職の拒否は、はっきりと明確に意思表示する
②個人面談等は録音しておく
③弁護士に相談する