ながら江雪の人生ノート

現役サラリーマンと定年シニアのお悩み解決

MENU

キャリアプランの本当の意味と今後は真剣に考える必要がある理由とは?

日本の大企業(JTC※)にも、これまでの「なんちゃって経営改革」ではなく、本腰をいれた改革の兆しが見え始めています。

※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング

時代遅れの日本式経営をだましだまし続ける怠慢経営では、もう先が見え始めたからです。

これからの時代は、「大企業に入ったから、もう安心」なんて呑気に構えていたら大変危険な時代です。

この記事を読めば、「キャリアプラン」の本当の意味を理解することによって、変わりつつあるこれからの時代をどのように働いていくべきか、そのヒントを得ることができます。
 

■この記事を読んで頂きたい人■
・主に大企業(JTC)にお勤めの若手サラリーマン
 
 
■この記事でわかること■
 ①キャリアプランの本当の意味とは?

②キャリアプランを今後は真剣に考える必要がある理由とは?
 

大企業(JTC)勤務でキャリアプランの主導権を会社に握られた平凡なサラリーマン人生を後悔している筆者が、キャリアプランの本当の意味と今後は真剣に考える必要がある理由について解説します。

<自己紹介>

筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職

 

      

 目次

キャリアプランの本当の意味とは?

キャリアプランとは、個人がキャリアのゴールを明確にし、それを達成するための具体的なステップや戦略を実行に移すための行動計画です。

しかし、通常は採用面接の質問項目として意識されるだけで、企業側の本音も質問の為の質問ぐらいにしか考えていません。

このような採用面接の質問項目でしかない「なんちゃって」キャリイアプランと本当のキャリアプランの違いを表にまとめました(下の表参照)。

(注)表中の「前提となる雇用形態」の欄の「自営型雇用」とは、同志社大学教授 太田肇氏が提唱する働き方です。引用文献:太田肇著自営型で働く時代ージョブ型雇用はもう古い!

以下、順を追って解説します。

先ず、キャリアプランの本当の意味を理解するには、生計を立てるために「結婚する相手」が、「誰」なのかを認識する必要があります。

「結婚する相手」が会社であるという認識が一般的な日本では、そもそもキャリアプランという概念は構造的に存在しません。

なぜなら、キャリアプランの主導権が会社に握られているため、会社都合の異動でこれまでのキャリアと全く関係のない仕事に変わる(例えば営業職から総務や人事)こともあるメンバーシップ型雇用※では、キャリアプランなんて全く有名無実だ(そもそも存在しない)からです。

※メンバーシップ型雇用とは、まず人材を確保し、その後に会社都合で仕事を割り当てる日本特有の雇用形態です。日本企業のほとんどで採用されており、新卒一括採用、終身雇用や年功序列が特徴です。欧米諸国のジョブ型雇用は、仕事の内容に応じて人材を雇用する方式で、メンバーシップ型雇用とは対照的です。

キャリアプランを立てるには、生計を立てるために「結婚する相手」は職種(例えば、営業職、○○エンジニア職、○○コンサル職などの専門スキル)であるという、日本ではまだ一般的ではない認識が必要です。

そしてキャリアアップは、自分の専門スキルの市場価値を高めることを目的とした転社(俗に言う転職)を繰り返すことによって実現します。

キャリアプランの本当の意味とは以下です。

①職種(専門スキル)を決めてゴール※を明確にする

※例えば、専門スキルを活かした起業家や経営者あるいは総括マネジャーになるとか、高度な専門知識とスキルが必要なM&A会社に就職し高い収入を得るなど

②そのために必要なキャリアアップの戦略を練る

③その戦略に従って転社し、自分の市場価値を高める

こぼれ話

会社と「結婚」するのは日本だけ

日本の就職は、言ってみれば「就社」です。

日本人に職業を聞くと勤め先を答えるのが一般的ですが、それがその証拠です。

欧米人などは、エンジニア、コンサルタント、経理、営業職など職種と「結婚」するので、キャリアアップのためには勤め先をどんどん変えます。

 HR Linqs:日米の勤続年数比較によると、生涯転職回数は日本が2回に対してアメリカは12回です。

【関連記事:転職を日米で比較|キャリアプランでゴールを目指す働き方とは?

 

 

キャリアプランを今後は真剣に考える必要がある理由とは?

日本の大企業(JTC)は、ポスト工業社会(需要の飽和とニーズの多様化・専門化が進み、その変化も加速した社会)*1への適応を怠ってきました(票や政治献金と引き換えにJTCを優遇してきた自民党政権にも責任があります)。

その結果、日本の凋落は悲惨なものとなっています。(日本の凋落ぶり(世界競争力、時価総額、名目GDP)参照)。

こういった状況の中、いよいよ日本の大企業(JTC)も遅ればせながらポスト工業社会に対応した経営改革に重い腰を上げ始めました。

以下が、その3事例です。

事例1:NTTグループの「専門性を軸とした人事給与制度への見直し」

事例2:メガバンクの中途社員の大量採用

事例3:富士通の社員のスキルセット入れ替えを目的としたリストラ

いずれもジョブ型雇用のように個人のスキルを重視する雇用システムへの変革を示すものです。

すなわち、以下の特徴があります。

①専門スキルと即戦力を重視

②自前主義を捨て中途採用へシフト

従って、キャリアプランを今後は真剣に考える必要がある理由とは以下になります。

ジョブ型雇用のように個人のスキルを重視する雇用システムへの変革が進む中、今後は以下のような状況が容易に予想できるから

⇒ キャリアプランを真剣に考えて市場価値のあるスキルを身に付けておかなければ、大企業(JTC)の経営改革が進んで、生き残れない(真っ先にリストラのターゲットになり転職もできない)時代が来る

 

 

それでは、前出の経営改革3事例を以下補足します

事例1:NTTグループの「専門性を軸とした人事給与制度への見直し」

NTTグループが導入した「専門性を軸とした人事給与制度への見直し」とは、社員の専門性とスキルの向上を促し、多様なキャリアを自律的に構築することで高い付加価値を創出するための新しい制度です。

2023年4月から導入され、年次や年齢ではなく専門性を重視した評価や給与、人事異動が行われるようになります。

具体的には、18の専門分野ごとに設定された「グレード基準」に基づき、専門性の獲得と発揮度に応じて昇格・昇給が行われる仕組みとなっています。

引用記事:大企業のジェネラリストは終わった!誰も知らないその正体と弊害とは?

事例2:メガバンクの中途社員の大量採用

純血主義、アンチ転職主義企業の代表格であるメガバンクが一斉に大量の中途採用を開始しました(下のグラフ参照)。

引用:3メガバンクが中途採用を拡大、狙いは? - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ニーズの多様化・専門化と加速する変化の速さに対応するためには、専門性と即戦力がこれまで以上に必要となり、従来の「社内のジェネラリスト+下請け業者」方式では対応できないことが理由です。

引用記事:大企業のジェネラリストは終わった!誰も知らないその正体と弊害とは?

事例3:富士通の社員のスキルセット入れ替えを目的としたリストラ

2023年の富士通における希望退職は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのリストラです。

これは、DXのスキルを持った人材を採用するためのスペースを組織に空けるためのリストラであり、従来のように一時的な業績悪化に伴う人件費削減ではありません。

要するに、このリストラは社員のスキルセット入れ替えが目的です。

 

 

まとめ

キャリアプランの本当の意味とは?

①職種(専門スキル)を決めてゴール※を明確にする

※例えば、専門スキルを活かした起業家や経営者あるいは総括マネジャーになるとか、高度な専門知識とスキルが必要なM&A会社に就職し高い収入を得るなど

②そのために必要なキャリアアップの戦略を練る

③その戦略に従って転社し、自分の市場価値を高める

キャリアプランを今後は真剣に考える必要がある理由とは?

ジョブ型雇用のように個人のスキルを重視する雇用システムへの変革が進む中、今後は以下のような状況が容易に予想できるから

⇒ キャリアプランを真剣に考えて市場価値のあるスキルを身に付けておかなければ、大企業(JTC)の経営改革が進んで、生き残れない(真っ先にリストラのターゲットになり転職もできない)時代が来る

日本型雇用システム(メンバーシップ型雇用)が余りにも定着し過ぎたため、ジョブ型雇用など個人のスキルを重視した雇用システムへのシフトチェンジが思うように進まないのが現実です。

しかし、一方で、日本型雇用システムの柱である終身雇用や年功序列がもはや機能しなくなったのも事実です。

今後、ジョブ型雇用あるいは同志社大学教授 太田肇氏が提唱する自営型など個人の専門スキルを重視する雇用システムにパラダイムシフトしていくのは確実です。

こぼれ話

競争にさらされないインフラ企業だけは、何かが原因で経営破綻しない限り、日本式経営が続きます

競争が限定的で安定的な需要が担保されている生活インフラ企業(電気、ガス、道路、鉄道など)は、甚大な自然災害などで経営破綻しない限り日本式経営が続きます。

こういった企業は、生きた化石シーラカンスのような存在になるでしょう(笑)。

【関連記事:【就職先】インフラ企業だけはやめなさい!リアルな実態を経験者が解説

 

 

*1:ポスト工業社会とは、失われた30年の間に、需要の飽和とニーズの多様化・専門化が進み、その変化も加速した社会です。具体的には、2010年代以降のGoogle、Apple、Facebook、Amazonなど巨大IT企業が世界の経済をけん引してきた時代が特にその象徴的な時代です。これに対し、工業社会とは、人口増による内需でモノをつくれば簡単に売れた少品種大量生産の時代で、日本では概ね1980年代以前の社会を指します。