マインドフルネスとは、「今・ここ」に意識を集中させる心の状態、またはその訓練方法を指します。
集中力の向上やストレスの軽減などの効果が期待できることから、一時ブームになり多くのハウツー本が出版されました。
ハウツー本には、呼吸瞑想、食べる瞑想(マインドフル・イーティング)、歩行瞑想、ボディスキャン瞑想などの訓練方法が載っていますが、効果を実感して継続している方は、ほとんどいないと思います。
どの方法も「座禅」と同じで、つまらなくて苦痛だから続くわけがありません。
その点、筆者がお勧めするロックバランシング(石積みアート)を利用したマインドフルネス瞑想は、従来の方法とは全く違います。
従来の方法が「今・ここ」に注意を向けること自体を目的にしているのに対し、ロックバランシングによる瞑想は、石積みアートの制作が目的です。
つまり、石積みアートの制作に集中することによって、知らず知らずのうちにマインドフルネスを体得できる(「今ここ」に注意を向けること自体を目的にしていない)点で他の方法とは一線を画しています。
この記事を読めば、その具体的な実践方法が分かります。
是非、ロクバランシング瞑想を試してみて下さい!
②マインドフルネス瞑想を簡単に実践できるロックバランシングとは?
ロックバランシングを利用したマインドフルネス瞑想に長年取り組んだ筆者が、マインドフルネス瞑想を簡単に実践できるロックバランシングについて解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者のロックバランシング歴>
2016年 ロックバランシング及びロックバランシング専門のインスタグラム開始
・インスタグラムに1000を超える投稿
・作品の質の高さ、石の積み上げ技術において日本の第一人者
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
<資格> 一級建築士(管理建築士)
目次
マインドフルネスとは?~「頭」と「心(=身体)」の関係から解説
「頭」と「心(=身体」)の関係を示した下のイメージ図をご覧ください。
左は非マインドフルネスを、右はマインドフルネスの状態を示しています。
先ず、混同されやすい「頭」と「心(=身体)」について解説します。
「頭」について
「頭」とは、いわゆる理性の場で、その最大の特徴は、何でもコントロールしたがる点です。
そして、「ああすれば、こうなる」という短絡的な思考による推測・分析・計画・反省が得意で、「~すべき」「~してはいけない」が口癖です。
この「頭」の働きが原因で、「過去」を悔んで引きずったり、「未来」を憂いてくよくよすることになります。
一方で、「頭」は「今・ここ」については、全く苦手です。
【参考文献】
泉谷閑示著『「普通がいい」という病』
「心(=身体)」について
「~したい」「~したくない」「好き」「嫌い」などの言葉を発するのが、心(=身体)です。
「頭」とは逆で、「今・ここ」に集中して、即興的に反応します。
ですから、「前こうだったから、今度もそうだろう」という分析を伴った反応はしません。
このような反応は、「頭」が得意とするところです。
また、喜怒哀楽といった基本的でナイーブ(素朴)な感情は、心(=身体)から生まれますが、期待が裏切られてがっかりする感情は、「頭」から生まれます。
なぜなら、この感情は、こうなって欲しいというコントロール志向が原因だからです。
したがって、欲望は全て「頭」由来と言えます。
また、「身体」と「心」は直接的に結びついて密接に相互作用しており、欲求(≠欲望)と感覚は、これら二つによって生じます。
「心」と「身体」は密接に連携しているため、「心」が元気でない場合、「身体」も元気ではありません。
【参考文献】
三木成夫著『内臓とこころ』
西原克成著『内臓が生みだす心』
なぜヒトは「未来」に不安を覚えるのか?
ヒトが狩猟採集生活から農耕生活に変わったのは、1万1000~2万3000年前のことです。
これにより、ヒトの時間感覚が変化しました。
農耕を効率的に行うためには、長期的なタイムスケジュールが不可欠だからです。
ところが、ヒトに備わっている「不安」対策システムは、狩猟採集生活時代からまだ進化が追い付いておらず、あくまでも目の前に迫った危険だけが対象です。
つまり、人には「遠い未来の不安」対策システムが備わっていないため、将来に原因の分からない不安を覚えるのです。
以上は、あくまでも仮説ですが、この仮説を裏付けるような事実も存在します。
ケンブリッジ大学で博士号を得たケニア出身の牧師ジョン・ムビティ氏によれば、「アフリカ人には未来の感覚が存在しない」という事実です。
引用:鈴木祐著『最高の体調』
マインドフルネスとは「頭」が「心(=身体)」に統合された状態
ここでもう一度、下図をご覧ください。
左は「頭」が「心(=身体)」の外の世界に遊離している、平たく言えば、気が散っている状態(=非マインドフルネス)です。
情報過多で刺激が多い現代社会では、ほとんどこの状態で生活しており、これがストレスの原因となっています。
逆にストレスのないリラックスした状態というのは、上図の右のように「頭」と「心(=身体)」が分離しておらず、「心(=身体)」の中に統合されている状態で、これがマインドフルネスと呼ばれる状態です。
「頭」が必要以上に外に向いていなければ、エネルギーを浪費することなく、疲れやストレスも減ります。
マインドフルネスは、「頭」が得意な「過去」と「未来」ではなく、「心(=身体)」が得意な「今・ここ」に集中することによって実感できます。
これは、狩猟採集生活時代の時間感覚に戻ることを意味します(前出の「こぼれ話」参照)。
マインドフルネス瞑想を簡単に実践できるロックバランシングとは?
ロックバランシングとは?
ロックバランシングとは、石の表面の小さな凹みを利用して、バランスを取りながら石を積み重ねてアート作品を作ることです(上の画像参照)。
当然、接着剤などは使いません。
言ってみれば、重力が接着剤です。
詳細は、【関連記事:ロックバランシングのやり方とコツを第一人者が解説【筆者の制作方法も公開】】をご覧ください。
一般的なマインドフルネス瞑想とロックバランシング瞑想の違いとは?
一般的なマインドフルネス瞑想は、「今・ここ」に集中する方法として、呼吸や身体の一部に意識を集中させます。
一方、ロックバランシングは石を積むことに集中すれば、自然と「今・ここ」に集中できます。
ロックバランシング瞑想は、石を積むというモチベーションがあるので、意識を「今・ここ」に集中させることが他の方法に比べるとかなり簡単です。
雑念に気を取られると石は崩れ落ちてしまいますので、「今・ここ」に集中しているかどうかが分かりやすいのも特徴です。
ロックバランシング瞑想を繰り返すうちに、雑念をやり過ごすことが自然とできるようになっていきます。
つまり、雑念を感じている自分を第三者の目で見る「自己観察」の感覚が、ロックバランシングを通じて自然と体得できるのです。
これも、石を積み上げてアートを完成させるという、他の方法には無い「目に見えるモチベーション」が大きな助けとなっています。
ロックバランシングを自宅でやるには?
自然に囲まれた川原でロックバランシングを行うのが理想ですが、日常的に行うには無理があるので、自宅で簡単にできる方法をご紹介します。
下図をご覧ください。
上図にあるような平たい安定感のある植木鉢(直径10~15cm程度)と石を用意します。
石は、川原で拾ってくるか、石材店かホームセンターで購入してください
先ず、鉢に石をぐらつかないようにセットします。
すき間に小石をかませて、絶対に動かないようにセットしてください。
このベースの石が少しでも動くと絶対に石は積めません。
あとは、石の表面の小さな凹を利用して、図にように積み上げます。
最初は、凹が多いデコボコした石を選んでください。
ネットで画像検索すれば、いろんなレベルの作品が出てきますので参考にしてください。
まとめ
✔マインドフルネスとは?
「頭」が「心(身体)」に統合されることにより、外部の刺激に惑わされずに集中している状態
✔マインドフルネス瞑想を簡単に実践できるロックバランシングとは?
・ロックバランシングとは、石の表面の小さな凹みを利用して、バランスを取りながら石を積み重ねてアート作品を作ること
・ロックバランシング瞑想は、石を積むというモチベーションがあるので、意識を「今・ここ」に集中させることが他の方法に比べるとかなり簡単
最初のうちは、ロックバランシングの最中にいろんな雑念がわいてきますが、その雑念を「今、雑念を感じている自分がいる」といった具合に第三者として眺めるようにしてください。
慣れてくると、その雑念がスーッと消えて、また石積に集中できるようになります。
これが、「自己観察」の感覚です。
このロックバランシング瞑想で「自己観察」の感覚がつかめれば、日常生活のさまざまな状況をマインドフルネスのトレーニングの場とすることが可能になります。