国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」の「世界幸福度報告書」2023年版によると、国別の幸福度ランキングで日本の順位は137カ国中47位ですが、主要7カ国(G7)では最下位でした。
2012年からの日本の順位は、下のグラフの通りで毎年50位前後です。
引用記事:【世界幸福度ランキング】日本の幸福度 朝日新聞デジタル
この記事では、幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋を提案します。
②幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋とは?
官僚的で不条理な大企業で日々生きづらさを感じてきた筆者が、幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
ロックバランシング歴8年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
生きづらさの正体とは?
ヒトの生きづらさを生む根本原因とは?
日本では明治以降、急激に人口が増えました(上のグラフ参照)。
このように急激にヒトが密集することによる「人間関係の増加」は、ヒトにとって「超正常刺激」※1 の一種であり、生きづらさを生む根本原因になっていると筆者は考えます。
※ 1 「超正常刺激」とは、人間を含む生物が通常の自然な刺激よりも強い反応を示すような人工的な刺激のことを指します。これは、生物が本能的に反応する刺激を人為的に強化したもので、しばしば自然界には存在しないほど強力な引き付け効果を持っています。例えば、過剰な塩分、砂糖、脂肪などの刺激を提供するジャンクフードや過激なポルノなどが超正常刺激の一例とされています。超正常刺激は、依存症あるいはストレスや不安を引き起こすなどさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
ヨーロッパなど諸外国でも産業革命により1800年頃から人口は同様に増えましたが、可住地割合が小さい日本(国土の70%は山)の方が実際的な増え方はより急激であったと考えられます(下表参照)。
引用:国土交通省作成資料
幸福度が低い日本の生きづらさの原因とは?
下のグラフをご覧ください。
厚生労働省がまとめた2024年の小中高生の自殺者数(暫定値)は527人(前年比14人増)で、統計を取り始めた1980年以降で過去最多となりました。
これは、一週間に10人もの幼い命が失われていることになります。
引用:2024年の自殺者数、子どもが過去最多に 厚労省公表 | 毎日新聞
また、G7各国における10~19歳の死因において、自殺が1位になっているのは日本だけです。
これは、日本の教育が他国に比べて人間関係をより強い「超正常刺激」にしてしまっていることが原因だと筆者は考えます。
教室という狭い空間に子供たちを押し込めて実際にはあり得ない「みんな仲良く」を強制したうえに、以下のようなくだらない道徳教育を通じて、人間関係のなかにしか幸福を見つけられない人間に調教してしまっています。
「いいところ探し」プログラム:生徒たちがお互いの長所や学校の良い点を見つけて共有する活動
「感謝の手紙」プロジェクト:生徒が教師やスタッフ、同級生に感謝の手紙を書き、感謝の気持ちを伝える取り組み
「ポジティブポスト」掲示板:学校内にポジティブなメッセージや褒め言葉を掲示するボードを設置する取り組
「良いニュース共有タイム」:授業の始めや終わりに、生徒たちが最近の良いニュースやポジティブな出来事を共有する時間を設ける活動
※2 これらの取組みにより、見返りがないと「いいこと」をしない「損得勘定で生きる世俗的な日本人」を量産していることにもなります。
子どもは大人に比べて、より自然に近い存在です。
その分、学校での人間関係の強制は、より強い「超正常刺激」となり、子どもたちにより大きなストレスや不安を与え続けていることになります。
子どもの自殺の増加が、それを物語っています。
幸福度が低い日本の生きづらさの原因は、学校教育による「過剰な人間関係の強制」です。
レイチェル・カーソン著『センス・オブ・ワンダー』より
もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない『センスオブワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を授けてほしいとたのむでしょう。
この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。
幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋とは?
以上の考察から導き出される、幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋は、強い「超正常刺激」になってしまった人間関係を正常な刺激に戻すことです。
すなわち、処方箋は以下になります。
・人間関係の中だけではなく、自然とのかかわりの中にも幸福を感じる生き方にシフトする
SNSが登場したこともあり、今の日本人は人間関係の中だけに幸福を感じようとしています。
しかし、資本主義経済や新自由主義により競争と自己責任の社会になってしまった現在では、人間関係の中に幸と不幸が必ず混在しています。
なぜなら競争と自己責任の社会は、誰かが得をすればその分誰かが損をするゼロサム社会の側面が強くなるからです。
現実的には、富の格差と同様に幸福の格差も広がっており、もはや人間関係の中に幸福を求めても徒労に終わることが多いでしょう。
昨今のペットブーム(動物は自然です)もこれを反映したものです。
旅行など非日常的なものだけではなく、日常の中で自然とかかわることをおすすめします。
例えば、公園を散歩、ガーデニングや家庭菜園、庭いじり。
筋トレも自然の一つである肉体との会話です。
筆者はこの他にも、ロックバランシング、SUP(スタンドアップパドルボート)、ソロキャンプを楽しんでいます(下の画像参照)。


まとめ
✔生きづらさの正体とは?
・1800年以降の急激な人口増による「人間関係の増加」は、ヒトにとって「超正常刺激」 の一種であり、生きづらさを生む根本原因になっている
・そして幸福度が低い日本の生きづらさの原因は、学校教育による「過剰な人間関係の強制」
✔幸福度が低い日本で生きるための生きづらさへの処方箋とは?
・人間関係の中だけではなく、自然とのかかわりの中にも幸福を感じる生き方にシフトする