引用:Idiota / SALSATION® Choreography by SMT Tamas & Grace
筋トレの正しいテクニックは、狙った筋肉部位を効果的に肥大化しますが、一方で運動能力に悪影響を及ぼす危険性があります。
この記事では、筋トレと組み合わせて行う有酸素運動を利用して、その悪影響を解消する方法を提案します。
②筋トレによる運動能力低下を解消するにはダンスフィットネスがいい2つの理由とは?
筋トレとダンスフィットネスともに17年のキャリアを持つ筆者が、筋トレによる運動能力低下を解消するにはダンスフィットネスがいい理由を解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
ボディメイクを目的とした筋トレにより低下の危険性がある2つの運動能力とは?
ボディメイクを目的とした筋トレにより低下の危険性がある2つの運動能力とは、効率的かつ効果的に動作を行うために必要な以下の2つの能力です。
①コーディネーション能力( 複数の筋肉を連動させて動かす能力)
コーディネーションを使った筋肉連動は、ムチのイメージです。手元の僅かな動きが先端の鋭く強い動きに増幅されます。
②外力(重力、慣性力、遠心力)を使う能力
金づちで釘を打つときのことを思い出してください。内力(筋肉)だけで金づちを振るうより、金づちの重さ(外力)を利用して振り下ろした方がうまく釘を打ち込むことができて、しかも疲れません。
以下、筋トレによる2つの能力低下の危険性について解説します。
①コーディネーション能力( 複数の筋肉を連動させて動かす能力)
ボディメイクを目的とした筋トレの正しいテクニックとは、狙った特定の筋肉部位だけに、負荷(テンションと圧縮)を可能な限り集中させられる技術です。
このテクニックによって、効果的かつ効率的に筋肉を肥大させることができます。
従って、複数の筋肉を連動させて負荷を分散してしまうコーディネーション能力(=反動)は封印する必要があります。
要するに、コーディネーション能力を活かした体の使い方は、ボディメイクを目的とした筋トレの体の使い方の対極にあるのです。※1
※1 ウエイトリフティングは、この点で筋トレとは対極です。前者はコーディネーション能力を最大限働かせて、思いっきり反動をつかってウエイトを持ち上げます。筋トレ初心者は、ほとんどの人がウエイトリフティングになっています。参考:筋トレしてもなかなか筋肥大しない人へ!その筋トレ重量挙げかも?
②外力(重力、慣性力、遠心力)を使う能力
運動で内力(筋力)を使うことなく、外力(重力、慣性力、遠心力)を利用することによって、以下のようにエネルギーを節約できます。
・重力(自重)
例えば、古武術の「抜重」は、体全体の力を一瞬抜くことによって筋肉(内力)を使わなくても地面反力(外力)を得ることができます。
下のYoutubeは「抜重」を使った膝抜き発進です。
サッカーやバスケットなどで相手を瞬時に抜き去る時にも使う身体操作です。
・慣性力
例えば、野球のバットやゴルフクラブをスイングする際、スイングの途中で加速度を変える(いわゆる壁をつくる)ことで慣性力が働き、内力(筋力)を使わなくてもボールにより強い力を伝えることができます。
・遠心力
例えば、投擲競技(ハンマー投げなど)では、遠心力を使って回転運動を最大限に活用し、より遠くに投げることができます。
外力を理解し活用することで、競技パフォーマンスを高めることが可能ですが、筋トレは内力(筋力)を鍛えるトレーニングですので、内力以外の使用は当然禁止です。※2
※2 筋トレ初級者は、「ネガティブ動作」の局面でゆっくりウエイトを下せません。これは、知らず知らずのうちに重力(外力)を使っている証拠です。筋トレの「ネガティブ動作」とは、動作の中で筋肉を伸張しながら力を発揮する局面を指します。例えば、ダンベルを持ち上げる筋トレでは、持ち上げる動作が「ポジティブ動作」(短縮性収縮)で、ゆっくり下ろす動作が「ネガティブ動作」となります。
前出のコーディネーション能力と同じように、外力(重力、慣性力、遠心力)を利用する体の使い方は、ボディメイクを目的とした筋トレの体の使い方とは正反対です。
宮里藍や石川遼が不調に陥った原因は筋トレ?
彼らトッププロのコーディネーション能力や外力を駆使する能力は並外れています。
しかし、彼らでも相対的に特定の筋肉がつき過ぎると、全体のバランスが崩れる場合があります。
アメリカツアー参戦のため飛距離アップを狙って筋トレを頑張り過ぎたことが、不調に陥った原因の一つであると筆者は考えます。
筋トレによる運動能力低下を解消するにはダンスフィットネスがいい2つの理由とは?
画像引用:Cuenta Pendiente/Paty Cantu ft. Alejandro Sanz/SALSATION CHOREOGRAPHY BY SMT GRACE CASALINO
ダンスフィットネスとは、スポーツクラブなどで行われるスタジオプログラムで、ダンスの動きと有酸素運動を組み合わせたエクササイズの一種です。
例えば、ズンバ、サルセーション、リトモス、バイラバイラなど、初心者から上級者まで楽しめる様々なプログラムが用意されています。
筋トレによる運動能力低下を解消するにはダンスフィットネスがいい2つの理由とは以下です。
①「コーディネーション能力」と「外力を使う能力」を手軽に鍛えられる
ダンスフィットネスを「キレがある動き」や「滑らかな動き」でカッコよく踊るには、コーディネーション能力と外力を使う能力は欠かせません。
この2つの運動能力は、あらゆるスポーツに共通していますが、ダンスフィットネスがもっとも手軽な練習方法です。
参考:ダンスフィットネスが疲れ知らずでカッコよく踊れる4つのコツとは?
②スポーツクラブで一緒に行えばコストパフォーマンスがいい
筋トレをスポーツクラブで行えば、手軽にダンスフィットネスも楽しめます。
料金は月謝に含まれるのでコストパフォーマンスがいいのも魅力です。
有酸素運動としてランニングマシーンやエアロバイクやをやるぐらいなら、ダンスフィットネスのほうが断然楽しめます。
まとめ
✔ボディメイクを目的とした筋トレにより低下の危険性がある2つの運動能力とは?
①コーディネーション能力( 複数の筋肉を連動させて動かす能力)
②外力(重力、慣性力、遠心力)を使う能力
✔筋トレによる運動能力低下を解消するにはダンスフィットネスがいい2つの理由とは?
①「コーディネーション能力」と「外力を使う能力」を手軽に鍛えられる
②スポーツクラブで一緒に行えばコストパフォーマンスがいい
筋トレを熱心にやっている人が有酸素運動としてダンスフィットネスを取り入れているのを、長いスポーツクラブ通いを経験している筆者でも実は見たことがありません。
筋トレのストイックさに、ダンスフィットネスの楽しさは似合わないからでしょうか。
せっかく筋トレでカッコいい体を手に入れたんですから、ダンスフィットネスに参加して皆に見てもらいましょう。
参考:筋トレとダンスフィットネスは意外に相性がいい3つの理由とは?