世界的に有名な理論物理学者 カルロ・ロヴェッリによると『時間は存在しない』そうです。
毎日「時間」に追われている人にとっては、まったく理解できない話です。
でも、その「時間」とは何なのでしょう?
ひょっとしたら、あなたを追っている「時間」は、主観的な幻想かもしれません。
この記事を読めば、「時間」の本質が分かります。
②『時間は存在しない』の要点
③『時間は存在しない』から読み解く年齢の意味とは?
<自己紹介>
筆者本人(1960年生)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
世界的ベストセラー『時間は存在しない』とは?
イタリアの理論物理学者 カルロ・ロヴェッリ※1 の著書『時間は存在しない』は、イタリアで18万部発行され、35か国で刊行決定の世界的ベストセラーです。
※1 1956年、イタリアのヴェローナ生まれ。イタリアやアメリカの大学勤務を経て、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で、量子重力理論の研究チームを率いる。「ループ量子重力理論」の提唱者の一人。『すごい物理学講義』(河出書房新社)で「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」を受賞。『世の中ががらりと変わって見える物理の本』(同)は世界で100万部超を売り上げ、大反響を呼んだ。
また、タイム誌の「ベスト10ノンフィクション(2018年)」にも選ばれた名著です。
本書は『時間は存在しない』という衝撃的な書名ですが、決して煽りタイトルの書籍ではありません。
世界的に有名な理論物理学者が書いた、目から鱗の大変興味深い内容の書籍です。
『時間は存在しない』の要点
本書の要点に関係する内容の一部を引用します。
時間の流れは、山では速く、低地では遅い。
(中略)
遅くなるのは時計だけではない。
低いところではあらゆる事柄の進展がゆっくりになる。
遅くなるといっても人間の能力ではその差は分からないほど、ごく小さなものですが、精密な時計を使えば誰でも確かめられます。
遅れる原因は、引力(重力は地球からの引力)です。※2
※2 物体は引力によって周囲の現象を減速させることが、アインシュタインの「一般相対性理論」で証明されました。
と言うことは、地球上のあらゆるポイントで現象速度は異なるので、時間もあらゆるポイントごと固有の時間があるということを意味します。
時計が役に立つのは、それぞれ違う「無数の時刻」を社会的に統一しているからです。
ところで、1秒とはどのように定義されているのでしょうか?
現在、1秒はセシウム原子の振動数を基準とした物理的な定義が採用されています。
しかし、セシウム原子の振動数であろうが、古代から用いられてきた日時計であろうが、地球上では重力の影響(相対性理論)を必ず受けるため、絶対的な「1秒」というものは存在しません。
「1秒」ごと刻まれる時計の時間とは、相対的なものなのです。
「時間」とは、セシウム原子の振動数あるいは太陽の動きによる影の動きなど「現象」を相対的に数値化したものに過ぎません。
要するに、現実世界において絶対的に存在するのは、時間ではなく「現象」だけです。
時間の流れを感じるのは、あくまで人間の主観的な体験によるものであり、現実世界において「流れる時間」は絶対的な存在ではないと著者カルロ・ロヴェッリは主張しています。※3
※3 ロヴェッリは、物理方程式における時間( t)は他の物理量や関係性から派生したものであり、「絶対的な存在としては必ずしも必要ではない」と主張しています。時間(t)は、「便利な近似」や「マクロレベルでの有効な記述」として役立つものの、根源的なレベルでは必須ではないという意味です。
『時間は存在しない』から読み解く年齢の意味とは?
「年齢」は時間の集積ですので、著者カルロ・ロヴェッリの主張によれば「年齢」も存在しません。
存在するのは、老化という「現象」だけです。
そして、重力の影響とは比べ物にならないくらい大きな影響を、肉体の老化速度に及ぼすのが、運動習慣や食習慣などの生活習慣です。
生活習慣の違による肉体の酸化(サビ)の速度の違いが、社会的な年齢と関係の無い「肉体的な年齢」を決定します。
結局のところ、「年齢(数字)」は社会的な「情報(データ)」としての意味しか持ちません。
そして、「肉体的な年齢」と「情報としての年齢」が無関係なのは、むしろ当然なのです。
まとめ
世界的ベストセラー『時間は存在しない』から読み解く年齢の意味とは、社会的な「情報(データ)」としての意味に限られたものです。
「時間」や「年齢」が意味があるのは社会的なルール上の話だとすれば、年齢より若く見えたり老けて見えるのは当然といえば当然です。
参考:人生を前向きに楽しむ為にシニアが「見た目」を若く保つ6つの生活習慣