現役時代にあまり価値が無かったものが定年退職後には価値が上がったり、逆に現役時代に価値があったものが定年退職後には何の価値も無かったりします。
現役時代の会社への過剰適応が、この価値観の転換を妨げると、定年退職後の不幸につながる可能性もあります。
この記事では、退職してから価値観が転換した実例をシェアします。
②筆者にとって退職してから価値が下がったものとは?
<自己紹介>
筆者本人(1960年生)
出世競争は早めに降りて体づくりに励む
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2923年 退職
目次
筆者にとって退職してから価値が上がったものとは?
①出世競争は早めに降りて鍛えてきた肉体
筆者は東大卒ですが建築学科出身かつ中途社員なので、転職先のインフラ企業では低い身分※1 でした。
※1 特にJTCと揶揄されるような伝統的大企業での出世は、業績ではなく、その会社独自の規範に基づく身分制度と上司の主観的な好き嫌いをベースにした内部の評判によって決まります。参考:【就活】大企業(JTC)の知られざる身分制度【経験者が実態を解説】
それを悟った筆者は、これまでの業績を無視し、身分制度に従った異動(40代後半)を契機に「静かな退職」を選択し、筋トレとボクシングでストイックに肉体を鍛え始めました。
現役時代は、体を鍛えてカッコいい体形になったからといって、それで得することは特にありません。
むしろ、周りは出世競争のストレスからか、浮き輪肉※2 をつけたオジサン体形ばかりなので、やっかみ半分の白い目で見られていたかもしれません。
※2 浮き輪肉の根本原因は、慢性的なストレスによる抗ストレスホルモン「コルチゾール」の過剰分泌です。参考:浮き輪肉が落ちない根本原因と落とすために最も大切なこととは?
しかし、退職後の一般社会では状況が違います。
出世競争は早めに降りて鍛えてきた肉体が名刺代わりになり、スポーツクラブでの話し相手や仲間をつくるための武器になっています。
また、ストイックな体づくりは、食事や睡眠など生活習慣にも好影響を及ぼす※3 ので、ますます健康体になり医療費の節減にも役立っています。
※3 筋トレ後のリカバリー(栄養補給と睡眠)で筋肉は肥大します。参考:ハードな筋トレより睡眠と食生活で筋肉を確実に付ける方法
このように、出世競争は早めに降りて鍛えてきた肉体は、退職してから価値が急上昇しました。
②現役時代の趣味経験
転職したインフラ企業の官僚的な体質が全く合わなかった筆者は、休日の趣味に打ち込むことでストレスを解消していました。
前出の筋トレやボクシング以外にも、料理、ハーブ栽培、クラシックギター演奏、洋ラン栽培、陶芸、ロックバランシング、卓球などです。
退職後、昼食の自炊を楽しんだり、ダンスフィットネスや卓球のサークル活動を始めることができたのも、現役時代の趣味経験を活かせたからです。
現役時代の趣味は、仕事のストレスから一時的に逃避するためのものでしたが、退職後は純粋に楽しめる趣味となり、その価値が上がりました。
③定年前から始めた「脱・消費脳」の生活
筆者のいう「消費脳」とは、「消費(浪費)=幸福」という思考習慣を指します。
例えば、車を2~3年ごとに買い替えたり、観光客向けの陳腐な海外旅行で無駄遣いしたり、テレビで紹介された高級レストランで無駄なカロリーを摂ったりすることに幸せを感じる思考習慣です。
筆者は、定年65歳を待つことなくできるだけ早く退職するために「消費脳」による散財を避けて、老後資金の貯蓄に励んできました。
その結果、定年65歳の2年前に退職できた上に、退職後は年金の範囲内での生活を無理なく送ることができています。
このように、退職前から始めた「脱・消費脳」によるお金の使い方も、筆者にとって退職してから価値が上がったものの一つです。
参考:定年前から始める賢いお金の使い方|脱・消費脳で定年後の不安を解消!
筆者にとって退職してから価値が下がったものとは?
①学歴
学歴は、新卒入社のポテンシャル採用時や学歴フィルターによる選別時に価値は最大で、それ以降は急速に下がります。
転職時も第二新卒としての転職以外は、あまり価値はありません。
なぜなら、転職では実践的な問題解決能力を求められるからです。
このように、学歴は現役時代に”償却”されてしまうので、退職してからの価値はありません。
②現役時代の肩書
肩書は、体格や性格など個人の属性とは違い、会社という狭い社会の”関係性”※4 ですから、退職すれば価値が下がるどころか消えてなくなります。
※4 肩書(地位)とは、言ってみれば将棋のコマの種類と同じです。将棋盤の外では、コマの種類はなんの意味もありません。むしろ、コマの材質(木や象牙)の方が重要です。
退職したのに、現役時代の肩書にこだわっていると不幸になります。
参考:過去の肩書が定年後の人生を不幸にします|プライドの捨て方
まとめ
✔筆者にとって退職してから価値が上がったものとは?
①出世競争は早めに降りて鍛えてきた肉体
②現役時代の趣味経験
③定年前から始めた「脱・消費脳」の生活
✔筆者にとって退職してから価値が下がったものとは?
①学歴
②現役時代の肩書