ながら江雪の人生ノート

現役サラリーマンと定年シニアのお悩み解決

MENU

誰も言わない日本企業の不都合な真実|成功体験の呪縛メカニズムとは?

成功体験の呪縛から逃れられず消滅した日本企業の典型は、かつては”黒いダイヤモンド”ともてはやされた石炭で高収益を上げて日本経済をけん引した石炭企業です。

石油へのエネルギー転換が進んだ1960年代以降も石炭に固執した石炭企業は、その後間もなく実質的に消滅しました。

また、かつては世界時価総額ランキングの上位を多数占めていた日本企業の多くが、現在ではその勢いを失っています(下表参照)。

引用:【最新】2025年世界時価総額ランキング

日本企業の衰退を招いた大きな要因の一つは、過去の成功体験にとらわれ続けていることだと言えるでしょう。

日本企業は、新卒一括採用や終身雇用、年功序列といった日本固有のメンバーシップ型雇用を基本的に今も続けています。

この雇用システムが、企業の”死に至る病”である組織の共同体化※1 と過去の成功体験に縛られざるを得ない権力構造を生んでいます。

 

※1 参考:堺屋太一著『組織の盛衰

 

この記事では、日本企業において、過去の成功体験にとらわれざるを得ない権力構造がどのように形成されていくのかに焦点を当てて解説します。

■この記事を読んで頂きたい人■
・日本企業、特にJTC※2 の若手社員

※2  JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング

 

■この記事でわかること■
・誰も言わない日本企業の不都合な真実|成功体験の呪縛メカニズムとは?
 
過去の成功体験に呪縛された日本企業に長年勤務した筆者が、誰も言わない日本企業の不都合な真実|成功体験の呪縛メカニズムを解説します。

<自己紹介>

筆者本人(1960年生)

出世競争は早めに降りて体づくりに励む
筋トレ歴18年 ボクシング歴12年

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2923年 退職

 

      

 目次

誰も言わない日本企業の不都合な真実|成功体験の呪縛メカニズムとは?

①かつての成功の功労者やその後継者が組織の主流派となり権力を持ち続ける

日本固有のメンバーシップ型雇用(新卒一括採用、終身雇用、年功序列)は社員を固定化し、その結果、運命共同体のようになった日本企業の権力構造は、経営がかなり傾かない限り変わることはありません。

かつての成功でいったん主流派が形成されれば、その権力は主流派(既成権力)にとって都合のよい人物へと引き継がれていきます。

②そのため、あらゆる経営判断が成功体験分野の視点で行われる

あらゆる経営判断が成功体験分野の視点で行われるため、そもそもその視点に沿わない計画が立案されることはありません。

もし成功体験分野の視点に沿わない計画を立案しようものなら、無能のレッテルを貼られて、早々に却下されてしまいます。

出世するためには、会社の将来より、共同体での評判を落とさないことが重要です。

主流派が満足する計画さえ立てておけば、会社の将来がどうなろうと関係ない、というのが共同体のメンバー全員の本音です。

③人事、経理、総務などバックオフィス部門も主流派の好感を得るために成功体験分野に便宜を図る

人事、経理、総務などバックオフィス部門も、当然、主流派への忖度に余念はありません。

ヒト・モノ・カネ・情報が、成功体験分野に集中します。

④仮に成功体験分野で失敗があっても、それを正式に失敗と認めない

仮に成功体験分野で失敗があっても、「今回は特殊事情による失敗」「プロセスは正しかった」と主流派が主張して、「正論」は弾圧され、異議を唱える者は排除されてしまいます。

これが、日本企業にはびこる「無謬主義(むびゅうしゅぎ)」の始まりです。

「無謬主義」は、失敗を前提とした議論を避けるため、失敗やリスクの可能性について公に議論しません。

さらに、過去の意思決定や施策に誤りがないという前提があるため、変革や問題解決が非常に難しくなります。

⑤こうなると、将来の主流派を目指して、成功体験分野に有能な若手が集まる

ニーズの多様化と専門化、そしてその変化のスピードが加速している現在のポスト工業社会では、かつての成功体験分野はもはや時代遅れとなっている可能性が高いと言えます。

かつての成功体験分野に有能な若手が集まっても、残念ながら、その能力を失敗の正当化や権力の維持に利用されるだけなのです。

こぼれ話

成功体験に溺れなかった織田信長

作家の堺屋太一によれば、織田信長が桶狭間の戦いに代表されるような奇襲作戦を行ったのは、生涯でたった3回だったそうです(参考:堺屋太一著『組織の盛衰』)。

大小合わせて百回ほど戦を経験した織田信長は、桶狭間のような奇襲作戦よりも、多くの兵を集めた物量作戦を得意としていました。

参考:大企業のサラリーマン社長では絶対真似できない織田信長の組織改革

 

 

まとめ

誰も言わない日本企業の不都合な真実|成功体験の呪縛メカニズムとは?

①かつての成功の功労者やその後継者が組織の主流派となり権力を持ち続ける

②そのため、あらゆる経営判断が成功体験分野の視点で行われる

③人事、経理、総務などバックオフィス部門も主流派の好感を得るために成功体験分野に便宜を図る

④仮に成功体験分野で失敗があっても、それを正式に失敗と認めない

⑤こうなると、将来の主流派を目指して、成功体験分野に有能な若手が集まる

日本企業の代表的な成功体験といえば、戦後の短期間で日本を経済大国に押し上げた「スケールメリットの追求」が挙げられるでしょう。

「スケールメリットの追求」実現のためのキーワードは、規格化、少品種大量生産、大型化、高速化、省力化です。

そして、この経営を支えていたのは、先行投資型採用である新卒一括採用と、長期間にわたって労働力を確保できる終身雇用制や年功序列制です。

この成功体験は、1970年代以前の工業社会に世界一適合して、「東洋の奇跡」と称えられた高度経済成長を実現した日本企業の金字塔です。

しかし、現在のポスト工業社会では、その金字塔がなかなか抜け出せない足かせになっていると言わざるを得ないでしょう。