ながら江雪の人生ノート

現役サラリーマンと定年シニアのお悩み解決

MENU

建築学科の就活先|ゼネコンの良い点と悪い点を経験者が解説

「建築学科に入ったのはいいけれど、就活先の業種は意外に少ないねぇ」

「設計は才能ないし、ゼネコンにするしかないか?」

「ところでゼネコンの仕事ってなんなの?」

「3K(きつい、汚い、危険)職場らしいけど」

こんな疑問にお答えします。

■この記事を読んで頂きたい人■
・建築学科を卒業予定で就活をスタートする学生とその両親
 
 
■この記事でわかること■
①就活サイトの内容が薄い記事では分からないゼネコンの実態

②就職先として良い点と悪い点

 

ゼネコンに新卒で就職経験のある筆者が、建築学科の就活先|ゼネコンの良い点と悪い点について解説します。

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職|主に大規模遊休地の不動産開発に携わる|分譲マンション開発(単独開発の他、大手不動産会社と共同開発)、戸建て分譲地開発(大手ハウスメーカー建築条件付き分譲地)を多数経験
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
<資格>
一級建築士(管理建築士)

        

 目次

ゼネコンの実態とは?

①利益を生む仕組み

ゼネコンは元請負者として各種の建築・土木工事を一式で発注者から直接請負い、下請け業者をとりまとめて工事を完成させ、その対価として請負代金を得ます。

利益は、請負代金から工事原価や現場経費及び本社費を差し引いた残りです。

請負代金は、他社との間で競争原理が働くため、自力ではどうしようもありませんから、利益の増減は工事原価等をいかに削減するかにかかっています。

工事原価等を削減する方法は以下の3つですが、「①下請けとの価格協議により労務費の支払額を減らす」がメインです。

①下請けとの価格協議により労務費の支払額を減らす

②商社等との価格協議により材料費の支払額を減らす

③仮設計画や工法などを工夫して工事原価を減らす

昨今の建設費高騰の原因は、材料費の高騰もありますが、慢性的な人手不足により下請けが一昔前のようにゼネコンの言うことを聞かなくなったせいです。

以前は、安定的な仕事の供給と引き換えに、渋々ゼネコンの言いなりになっていた下請けもこの深刻な人手不足ではそうもいきません。

②工事現場事務所は独立採算の独立した経営主体

大学院までいって設計または研究職希望で就活した方は別として、建築学科学部卒でゼネコンに入社すると先ず現場事務所に配属されて現場監督になります。

ゼネコンは全体では大企業ですが、その構成要素である工事現場事務所は独立採算経営の子会社のようなものです。

現場所長が社長で、その配下に現場監督が社員として数名から大きな現場事務所なら十数名の規模です。

現場所長が全権を握り、少しでも利益を増やすことに邁進します。

もし赤字が出た場合は、社長に直接説明と言うペナルティが待っています。

工事現場監督の仕事は、いわゆる3Kでブラックですが、出世するためには避けて通れない仕事です。

ゼネコンの役員幹部はほとんどが、現場たたき上げです。

途中で肉体的または精神的不具合で挫折した場合は、そこで出世の道は断たれ、技術管理部や安全部など現場のサポート部署にまわされます。

 

 

現場監督の良い点と悪い点

①良い点

以下の2点により、仕事のやりがいがあります。

1)社員個人に裁量がある

自分の責任範囲が明確であり、その範囲内であれば自分の判断で物事を決めれます。

工事現場は、刻一刻と状況が変わっていくため自分の判断で即決しなければならない場面が多くあります。

お役所仕事のように、いちいち会議を開いて皆で議論したり、上司にお伺いを立てている暇なんかありません。

結果は当然自分の責任ですが、大企業によく見られる集団無責任体質的な仕事の進め方ではないので大変やりがいがあります。

2)建物が完成していく達成感

建物が少しづつ出来上がっていくのを見るのは建築屋冥利に尽きます。

完成が近づくにつれ、苦労と努力をつぎ込んだ建物への愛情も増していきます。

竣工引き渡しと同時に、もう建物内へは自由に入れなくなり寂しさを感じますが、外からならいつでも見れますので達成感は消えません。

②悪い点

悪い点は、いうまでもありませんが、労働条件や労働環境の悪さです。

休めない、帰れない、暑い、寒い、汚い、危険などなどです。

給料はそこそこ良いのですが、「こんなに大変な割りに、これだけですか?」と言いたくなります。

筆者の経験では、残業時間100時間越えは当たり前で、建物の竣工前など月2日しか休みが無い時期もありました。

筆者がゼネコン建築現場で働いていたのは35年ほど前になりますが、2021年には清水建設社員が自殺しており(清水建設社員が過労自殺 自ら勤務時間を過少申告、時短目標が影響か:朝日新聞デジタル (asahi.com))、状況はさほど変わっていません。

建築工事は効率化が難しく、施工方法などは筆者が現場にいた頃とさして変わりません。

これまでもビル自動施工システムなるものも開発されましたが、開発したゼネコンのPRツールの域を出ることは無く、結局一般的に普及することなく消えていきました。

残念ながらこれからも、現場監督の労働条件はそんなに変わらないと思います。

まとめ

ゼネコンは下請けを泣かせて利益をねん出してきましたが、深刻な現場労働者の人手不足で従来型の下請けいじめでは立ち行かなくなっています。

その結果が、建設費の高騰と言う形で顕在化しています。

ゼネコンの経営は、独立採算制の現場の努力で利益を生み出し会社を支えています。

その分現場に裁量や権限があり、仕事のやりがいはありますが、労働条件や環境の劣悪さが給与に見合っていません。

建築物は、一部をプレファブ化できたとしても全体的には特注品であり、完全な規格化は不可能なため工場生産品のような効率化は不可能です。

これからも3K職場であることは変わりません。

■関連記事■