庭の魅力は、四季の変化を身近に感じられることです。
春には様々な色の花や新緑が庭を美しく彩り、秋には紅葉や落ち葉が景色を一変させます。
時には、野鳥が集まり、鳥のさえずりを聴きながらリラックスできる空間を提供します。
また、適度な運動にもなる庭いじりは、定年後の暇つぶしにも最適です。
しかし、老後は庭の管理が嫌で、一戸建てを売り払ってマンションに引っ越してしまう方がいらっしゃいます。
身近に庭のないマンションでの老後は味気ないものです。
庭は、ちょっとした工夫で管理が簡単になります。
この記事を読めば、管理が簡単な庭のつくり方のコツが分かります。
②庭の雑草を少なくするには?
一級建築士の筆者が、管理が簡単な庭のつくり方について解説します。
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
主に大規模遊休地の不動産開発に携わる
分譲マンション開発(単独開発の他、大手不動産会社と共同開発)、戸建て分譲地開発(大手ハウスメーカー建築条件付き分譲地)を多数経験
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
<資格>
一級建築士(管理建築士)
目次
庭木の剪定と落ち葉掃除を減らすには?
庭木の剪定と落ち葉掃除を減らすためには、庭木に山採りの木を使うことをおすすめします。
山採りの木とは、山に自生している樹木を掘り下ろした木のことです。
以下、詳しく解説します。
山採りの木の特徴
山採りの木は山の中の限られた栄養分しかない環境で雑木と競り合いながら伸びているので、下枝が無く幹が細い樹形をしており葉が少ないのが特徴です。
木陰が多い山の中で日の当たる方向へ伸びようとするので幹がうねり、畑で成長させた木では作ることのできない自然木を感じることができます。
木陰の多い環境で育った山採りの木にとっては平地の直射日光は強すぎるため、造園業者は山から掘り下ろしたら一度畑に仮植をして慣れさせたものを庭に植えます。
山採りの木を植えるメリット
ⅰ)剪定がほとんどいらない
山採りの木は、葉が少ないため成長が遅いので、あまり枝が伸びません。
さらに、山採りの木のなかでも成長が遅いアオダモなどの山採りの木は、ほとんど剪定が必要ありませんので特におすすめです。
ⅱ)落ち葉の掃き掃除が楽
葉が少ないので、当然、落ち葉の掃き掃除も楽です。
ⅲ)里山のような癒しの空間を楽しめる
山採りの木は、1本1本個性があり奥深く魅力的です。
細くうねった幹や枝が、里山のような癒しの空間を感じさせてくれます。
山採りの木の事例
【アオダモ】
【ヤマザクラ】
【ヤマモミジ】
庭の雑草を少なくするには?
一般的には雑草対策としてグランカバープランツの園芸品種を植えますが、山採りの木を使った雑木の庭に合う品種が少ないことや繁殖力旺盛なものが多く、カバープランツ自体の管理が大変になることから今回はおすすめしません。
以下、庭の雑草を少なくする方法を3つご紹介します。
①マルチング
地面に日光が届かなければ種が発芽せず雑草は生えません。
うっそうと生い茂った森には下草が生えていないのも同じ理由です。
杉皮などのマルチング材で地面を覆えば雑草が生えずらくなります。
また、落ち葉もゴミ箱に捨てるのではなく、庭の地面に捨てれば自然のマルチング材になります。
②苔庭
乾燥に強いスナゴケを使えば、ある程度日当たりがよくても苔庭をつくれます。
午前中だけ日が当たるような場所のグランドカバーとしてスナゴケを使えば、雑草対策になります。
昼過ぎから日陰になるスナゴケの庭(右側)
③雑草を活かす
雑草の中には野生のスミレのように観賞にたえるものも数多くあります。
自然にまかせて雑草を放置し、好みに合わない雑草だけ抜くという方法もあります。
野生のスミレやカタバミなどの雑草の庭
まとめ
✔庭木の剪定と落ち葉掃除を減らすには?
庭木には成長の遅い山採りの木を使う
✔庭の雑草を少なくするには?
ⅰ)マルチング、ⅱ)苔庭、ⅲ)雑草を活かす
最後に庭造りのおすすめ本をご紹介します。
荻野寿也*1の「美しい住まいの緑」85のレシピ(x-knowledge)
*1:1960年大阪府生まれ。1999年自宅アトリエが、第10回みどりの景観賞(大阪施設緑化賞)を受賞。以降、独学で造園を学ぶ。2006年設計部門として荻野寿也景観設計を設立。原風景再生をテーマに造園設計・施工を手がける。2015年三井ガーデンホテル京都新町別邸が、第25回日本建築美術工芸協会賞(AACA賞)優秀賞共同受賞。