「『失われた30年』を招いた自民党が、なぜ与党でありつづけるのか?」
「本来なら市場から撤退すべき実質的破綻企業の延命を図り(目的は政権維持のためのリスク先送り)、日本の凋落を招いた自民党が、なぜ与党でありつづけるのか?」
「一部の金持ちのための政策を連発する自民党が、なぜ与党でありつづけるのか?」
こんな疑問にお答えします。
②与党自民党のおおまかな歴史
③自民党政権が続いてしまう4つの理由
55年体制発足の5年後、昭和35年生まれの筆者が、日本を「美しい国」ではなく「凋落国」にした自民党が与党であり続ける理由について解説します。
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
日本の凋落ぶり
①世界競争力ランキング
IMD(国際経営開発研究所)が2023年6月20日に発表した「世界競争力年鑑」では、日本の総合順位は2022年の34位からさらに一つ下げて35位と過去最低となっています。
日本以外の東アジアの国・地域では、台湾6位、香港7位、中国21位、韓国28位です。
安倍元首相が『「美しい国、日本」をつくる』なんて国民を欺くキャッチフレーズをのんきに言っているうちに、ネトウヨが「もうすぐ破綻する」とはしゃいでいる韓国にずいぶんと水をあけられてしまいました。
ちなみにIMDがランキングを公表し始めたのは1989年で、1992年まで4年間、日本は1位でした。
【世界競争力ランキング~日本順位の推移】
②時価総額ランキング
【世界時価総額ランキング TOP50 1989年と2023年の比較】
1989年TOP50に日本企業は32社。
30年ほど前は、日本企業が50位以内の6割以上を占めており、日本企業が世界の経済をけん引していたと言っても過言ではありませんでした。
32社の中には、今となっては懐かしい企業や、株式が上場廃止された企業の名前もあります(2024年2月現在)。
2023年には0社
時価総額ランキング50位以内は0社です(2024年2月現在)。
この他にも、ここ30年で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれるなど、順位を落としてしまった国際ランキングは数知れません。
日本は今や先進国とは名ばかりの状態になりつつあります。
引用:「日本凋落の原因【日本にGAFA生まれない理由】選別主義の実像」
与党自民党のおおまかな歴史
①55年体制の成立
1955年自民党と社会党の二大政党制が成立し、自民党は「改憲・保守・安保護持」を、社会党は「護憲・革新・反安保」を、それぞれ標榜しました。
しかし、基本的な議席の割合は自民党2/3・社会党1/3であり、二大政党制の長所であるはずの政権交代は、最初から無理筋でした。
要するに、55年体制成立時点から自民党の与党体制だったわけです。
引用記事:55年体制とは?発足から崩壊の歴史をわかりやすく解説 | スマート選挙ブログ (smartsenkyo.com)
②政治不信があっても与党として君臨
これまでの主な「政治とカネ」問題をまとめました。
1976年 ロッキード事件
1988年 リクルート事件
1992年 東京佐川急便事件、金丸事件
こういった事件を受け、さすがに1993年細川内閣が成立し自民党は下野し、38年にわたった55年体制は崩壊しましたが、1994年6月30日には社会党と組むという禁じ手を使い連立政権として与党に復帰しました。
その後、年金記録問題や閣僚のスキャンダルもあって、2009年民主党に政権を譲ったものの2012年には自公連立政権が復活し、前代未聞の「安倍一狂一強」時代が始まりました。
その後、「モリ・カケ・桜」事件があっても不思議なことに政権は揺るぎませんでした。
想像を絶するほど地に落ちた政治倫理に皆が唖然としている間に、8年の月日が過ぎ去ってしまいました。
※左側の黄緑色が自民党の衆議院の議席占有率
引用記事:55年体制 - Wikipedia
自民党政権が続いてしまう4つの理由
①自然現象だからしょうがない症候群
最も過激なリバタリアン(完全自由主義者)を自任する生物学者の池田清彦著「どうせ死ぬから言わせてもらおう」から引用します。
亡くなった加藤典洋は「もうすぐやってくる尊王攘夷思想のために」(幻戯書房)の中で、日本国民が体制に対して従順なのは、体制を人民の手で倒した歴史がないからだと、正鵠を射た意見を述べている。
(中略)
あらゆる政策は天から降ってきた自然現象で、今さらどうにもならないという諦めが下級国民の大多数にゆきわたっている。
安倍政権は、アメリカの完全属国政策を推し進めたが、多くの下級国民はこれもまた自然現象として諦めて、深く考えることを放棄しているようだ。
前述の自民党一党独裁の歴史で見たように、ほぼ一貫して自民党政権であるため、国民は悪政に慣れきってしまっているのです。
イソップ童話の「アリとキリギリス」の「アリ」や昔流行ったNHK連続テレビ小説「おしん」のように、日本人はつらい環境への適応能力が高い民族です。
②国民やマスコミの自己家畜化
自己家畜化とは、野生生物が人間との共同生活に適応する過程のこと(中略)。犬や猫は部分的にはそのように進化した、あるいは進化していると考えられている。一方でヒト科の動物が、協調的で従順な行動を進化させたことも自己家畜化とする場合がある。
野生動物(マスコミ)は、攻撃的な行動が減少することで、人間(安倍政権)の近くでの生存率が向上することがある。(中略)こうした自己家畜化は、人間(安倍政権)の作り出す環境から発生する食糧(ネタ)の入手可能性を増加し、またそれを利用する能力の進化も促される。
③現状維持バイアスで「ゆでガエル」状態
現状維持バイアスとは、既存の状態を好み、変化を避ける傾向の心理現象です。
④前頭葉の老化によって強まる新しいものへの拒否反応
前頭葉の老化は早く始まるそうです。前頭葉は、人間の脳の中で最も早く老化が始まる部位であり、早い人の場合は40代から萎縮が目立ち始めます。(中略)前頭葉が衰えることで、感情のコントロールや意欲、創造性が低下するだけではなく、新しい情報や考え方に対する柔軟性が失われていく傾向もあります。年齢を重ねると、つい保守的な行動をとりがちになります。たとえば、「昔からやってきたやり方を変えられない」「住み慣れた場所から離れて、別の場所に行くのが憂鬱」「いつも食べている料理以外のものに挑戦するのが億劫」など、新しい挑戦を大きな負担に感じてしまうのです。
まとめ
✔日本の凋落ぶりです。②時価総額ランキング(2023年)⇒50以内はトヨタ1社だけ 30年ほど前は日本企業が7割