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大企業(JTC)の現場力の正体と現場力が失われた本当の理由とは?

かつての日本経済は「現場力」によって支えられてきました。

「現場力」とは、経営者が丸投げする経営課題に対して、社員が主体的に解決策を見い出してクリアする力のことです。

日本経済が成長を続けていた1990年代初めごろまでは、その「現場力」を支える技術力やモチベーションもそれなりに高いレベルを維持してきました。

ところが、最近では、不正や不祥事が相次ぐなど、多くの日本企業から「現場力」が失われつつあります。

これは、裏を返せば、経済成長時代からの経営環境の大きな変化にもかかわらず、課題を相変わらず現場に丸投げしてきた大企業(JTC※)の経営者たちが自ら蒔いた種であるとも言えます。

※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング

いま日本は、変化を嫌う硬直的な大企業(JTC)に留まることが、かえって危険な時代になりつつあります。

この記事を読んで、あなたの今後のサラリーマン人生に対する価値観を再確認するきっかにしてください。

■この記事を読んで頂きたい人■
大企業(JTC)にお勤めのサラリーマンで特に若手の方
 
 
■この記事でわかること■
①現場力の正体とは?

②大企業(JTC)の現場力が失われた本当の理由とは?

 

大企業(JTC)での長年の勤務経験がある筆者が、大企業(JTC)の現場力の正体と現場力が失われた本当の理由について解説します。

<自己紹介>

筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴17年 ボクシング歴11年

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職

 

      

 目次

現場力の正体とは?

「現場力」の正体を明らかにするには、まず、日系の大企業(JTC)が一種の封建社会であることを指摘しておく必要があります。

封建社会とは、中世ヨーロッパや日本の鎌倉から江戸時代に見られた、「土地」を媒介とした主従関係に基づく社会制度です。

この制度では、主君(国王や将軍など)が家臣(諸侯や大名など)に領地を与えて保護し、その見返りとして家臣は主君に仕えることを誓い、軍事的な義務を果たしていました。

日系の大企業(JTC)の場合は、「土地」の代わりに「終身雇用制度と年功序列制度」で社員をを保護し、その見返りとして社員は経営者に仕えることを誓い、丸投げされた課題に取り組む義務を果たしてきた訳です。

このように、上下関係を重視し、個人の自由や権利を認めない日系の大企業(JTC)は、まさに封建社会といえます。

ここまで解説すれば、もはや現場力の正体は暴かれたも同然です。

現場力の正体とは、「終身雇用制度と年功序列制度」で経営者に保護してもらう代わりに、「なんとかしろ!」と丸投げされた課題に滅私奉公で取組み「なんとかする」現場の力なのです。

 

 

大企業(JTC)の現場力が失われた本当の理由とは?

日系大企業(JTC)の現場力が失われた本当の理由は、社員を保護するための「終身雇用制度と年功序列制度」が崩壊したため、前出の封建制度も崩壊したからです。

下のグラフをご覧ください。

ここ30年、日本の名目GDPはまったく増えていません。

増えるどころか、2012年に始まったアベノミクス以降は名目GDPのマイナス基調が続いています。

引用:GDP4位転落 アベノミクスの通信簿だ | Nの広場 (nhiroba.com)

この他にも、ここ30年で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれるなど、順位を落としてしまった国際ランキングは数知れません。

こんな状況では、現場力の前提条件である封建制度を成立させている「終身雇用と年功序列」をJTCは維持できず、リストラや早期退職制度、そして役職定年制度の導入せざるを得なくなっています。

JTCの現場力に対する見返りが怪しくなってきたのは、それだけではありません。

現場力に対する見返りの基本である賃金の水準が、世界的に見て低く抑えられているのです。

それを裏付けるデータが下のグラフです。

【OECD加盟国35カ国の平均年収ランキング】凡例:日本は、OECD平均は

引用:【2019年版】日本の平均年収は世界で何番目?

こんな状態では、人手不足を解消するどころか、有能な人材は社外に流出し始めています。

昨今の日本の転職市場の活況は、こういった状況(JTCの封建制度の崩壊)を反映しているのです。

「終身雇用と年功序列」で家来(社員)の生活を定年まで保証し、功績を上げれば、主君(経営者)は恩賞(ポストや給与のアップ)を与えることができたのは、遥か昔の経済成長時代です。

現場力が失われたのは、経済成長時代から経営環境が大きく変化しても、大企業(JTC)の経営者が何ら手を打ってこなかったツケが回ってきただけの話なのです。

こぼれ話

日系大企業(JTC)の経営者が如何に無能かを示す世界時価総額ランキングの推移

経済成長時代の成功体験から未だに抜け出せず、経営姿勢をパラダイムシフトできない日系大企業(JTC)の成れの果てです。

【世界時価総額ランキング TOP50 1989年と2023年の比較】

引用:2023年世界時価総額ランキング

1989年TOP50に日本企業は32

30年ほど前は、日本企業が50位以内の6割以上を占めており、日本企業が世界の経済をけん引していたと言っても過言ではありませんでした。

32社の中には、今となっては懐かしい企業や、株式が上場廃止された企業(東芝)の名前もあります(2024年2月現在)。

2023年は日本企業0社

時価総額ランキング50位以内に日本企業は有りません(2024年2月現在)。

 

 

まとめ

現場力の正体とは?

「終身雇用制度と年功序列制度」で経営者に保護してもらう代わりに、「なんとかしろ!」と丸投げされた課題に滅私奉公で取組み「なんとかする」現場の力

大企業(JTC)の現場力が失われた本当の理由とは?

・社員を保護するための「終身雇用制度と年功序列制度」が崩壊したため、社員のモティベーションが低下したり、有能な人材が社外流出(転職)したため

・これは、経済成長時代から経営環境が大きく変化しても、大企業(JTC)の経営者が何ら手を打ってこなかったツケが回ってきただけの話

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