ながら江雪の人生ノート

現役サラリーマンと定年シニアのお悩み解決

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大企業の経営者が社員を大切にしない理由|JTCで賢く働く方法とは?

日本の伝統的な大企業(JTC※)は、社員を大切にしていません。

※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング

その証拠の一つが、『社員について語らない経営理念』です。

欧米企業などの経営理念の中には次のように、社員に対する理念が謳われています。

・IBMに受け継がれる「個人の尊重

・Johnson & Johnsonの「社員一人一人は個人として尊重され、その尊厳と価値が認められなければならない

・インド発祥のグローバルIT企業 HCLの「社員が第一で、顧客が二番目

引用:太田肇著『個人を幸福にしない日本の組織』 

証拠の二つ目は、世界的に見て低い日本の賃金水準です(下図参照)。

【OECD加盟国35カ国の平均年収ランキング】凡例:日本OECD平均

引用:【2019年版】日本の平均年収は世界で何番目?

しかし、大切にされないことを逆手に取って賢く働けば、必ずしも悪い事ばかりとは言い切れません。

■この記事を読んで頂きたい人■
①大企業(JTC)に就活予定の学生の方

②大企業(JTC)にお勤めの若手サラリーマンの方
 
 
■この記事でわかること■
①大企業(JTC)の経営者が社員を大切にしない理由とは?

②大企業(JTC)と外資系企業の比較

③社員を大切にしない大企業(JTC)で賢く働く方法とは?

 

大企業(JTC)で長年の勤務経験者がある筆者が、大企業の経営者が社員を大切にしない理由|JTCで賢く働く方法とは?について解説します。

<自己紹介>

筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職

 

      

 目次

大企業(JTC)の経営者が社員を大切にしない理由

メンバーシップ型雇用で奴隷化したJTCの社員は会社に縛り付けられます

大企業(JTC)の経営者が社員を大切にしない理由は、『釣った魚に餌はいらない』からです。

その意味を解説します。

JTCはメンバーシップ型雇用ですから、「新卒一括採用+終身雇用+年功序列」で社員を囲い込んで奴隷化します。

そして、会社の都合で仕事がコロコロ変わるため専門的なスキルは身に付きません。

このように市場価値のあるスキルが身に付かないJTCの社員は、どこにも逃げられません(転職できません)。

一方、キャリプランのオーナーシップを個人が握って、市場価値のある専門的なスキルを身に付け、転職でキャリアアップを図るのが当たり前のアメリカなどは、経営者が社員を大切にしないとすぐに逃げられて(転職されて)しまいます。

■関連記事■
こぼれ話

名経営者 稲盛和夫氏が率いた京セラと日本航空は例外

京セラの経営理念です。

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類、社会の進歩発展に貢献すること。

京セラは、資金も信用も実績もない小さな町工場から出発しました。

経営者と従業員が一体となって、会社の発展のために精一杯努力し、信頼に応える心を大切にしています。

また、稲盛和夫氏が日本航空の経営再建を主導した際、従業員の「心」を変えて、経営者と同じ思いを共有することを重視しました。

 

 

大企業(JTC)と外資系企業の比較

外資系企業は社員を大切にする反面、社員の能力を時価評価するため、JTCに比べて仕事は厳しくなります(当然、その分成長はできます)。

能力の時価評価とは、成果と報酬(給与)のバランスを現時点で評価するという事です。

一方、終身雇用と年功序列のJTCでは、若いときは成果に比べ給与は低く、歳をとると成果に比べ給与は高くなります。

従って社員は、定年まで会社にしがみついていないと元が取れないよう仕組まれているのです。

これは、経済成長時代の労働力囲い込み戦術が、今になっても続けられていることを意味します。

ここで改めて、JTCと外資系企業の比較を以下の表にまとめました。

このようにJTCと外資系企業は、真逆の起業文化です。(なぜこんなに違うのか興味がある方は、【就活】大企業(JTC)すごろく上がりのサラリーマン社長の弊害とは?をご覧ください。)

外資系企業は、「最小コストで最大効果」を目指すため、個人の評価は「実力勝負で結果重視」です。

そのため、給与に見合う成果が出ていなければ解雇の危険性があります(日本法人の場合は、解雇の法的制約があるため退職勧奨*1で対応)。

外資系企業の社員は、能力の時価評価という考え方が常識なので、成果が給与に見合わなければ解雇(日本法人の場合は退職勧奨)を受け入れます。

JTC社員のように成果に見合わない給与をもらって「ラッキー!」なんて考える人は、外資系企業にはいません。

また、JTCのように結果重視型より「がんばり」や「汗かき」といったプロセス重視型の評価は、外資系企業ではまったく通用しません。

このように、やる気と能力が備わった人には外資系企業は向いていますが、「大手に入社して一生安泰」を求める人には向いていません。

以上、JTCと外資系企業の違いをまとめました。

【外資系企業】
社員を大切にするが、それに応えて結果を出さないと解雇される

JTC
社員を大切にしないが、結果を出さなくても「がんばり」や忖度で解雇されない

 

 

社員を大切にしない大企業(JTC)で賢く働く方法とは?

以上のように外資系企業は、仕事のやりがいはありますが、人によっては結構きつい面があります。

外資系企業に向かない人は、以下のようにJTCで賢く働くことをお勧めします。

・終身雇用と年功序列の恩恵は最大限享受することを心掛ける

具体的には、早期退職の話には絶対乗らないし、役職定年も我慢して乗り切る

・苦労して結果を出すことはせず、「がんばり」演出と上司への忖度で「テキトー」に乗り切る

言いたいことは、「すごろく上がりのサラリーマン社長」率いる経営陣の裏をかいて、仕事は「テキトー」にこなし、世間一般より恵まれた給与とステータスで、プライベートを楽しむ人生を送るという事です。

そのためには、くだらない出世競争から早めに足を洗い、無能上司には適当に仕えることです。

仕事なんて絶対に生きがいにしてはいけません(まっとうに評価されることは、ありませんから)。

その結果起こる低い従業員エンゲージメント低い労働生産性の問題は、経営陣の課題であり、社員の知ったことではありません。

こぼれ話

今後は「成果主義」導入の流れ??

メンバーシップ型雇用を抜本的に見直さない限り、成果主義導入も結局「なんちゃって」に終わります。

【関連記事:大企業(JTC)の経営改革は何故いつも「なんちゃって」なのか?

(注)外資系企業に向くと思った方は、就活や転職を積極的に検討すべきです。外資系企業で働く能力やスキルがある方が、JTCで飼殺されるのは大変もったい話です。

まとめ

大企業(JTC)の経営者が社員を大切にしない理由とは?

釣った魚に餌はいらない

要するに、市場価値あるスキルを身に付けることができないJTCの社員は転職できないため、大切にする必要がない

大企業(JTC)と外資系企業の比較です。

社員を大切にしない大企業(JTC)で賢く働く方法とは?

・終身雇用と年功序列の恩恵は最大限享受することを心掛ける

具体的には、早期退職の話には絶対乗らないし、役職定年も我慢して乗り切る

・苦労して結果を出すことはせず、「がんばり」演出と上司への忖度で「テキトー」に乗り切る

(注 再掲)外資系企業に向くと思った方は、就活や転職を積極的に検討すべきです。外資系企業で働く能力やスキルがある方が、JTCで飼殺されるのは大変もったい話です。

 

 

*1:退職勧奨は、企業が従業員に対して退職を提案する行為。これは解雇とは異なり、強制力はなく、あくまで提案に過ぎない。通常、退職は従業員の申し出に基づき企業がこれを承認することで成立するが、退職勧奨はそのような退職手続きの中で特異なケースと言える。