ながら江雪の人生ノート

サラリーマン人生の送り方や定年の迎え方をご紹介します

定年後の孤独や不安解消法を老子から学ぶ【経験者が解説】

「定年退職したけど毎日やることが無い。むなしくて何となく不安だ。」

「毎日テレビばかりで誰にも会わない。この孤独から解消されたい😞」

 

こんなお悩み解決します。

 

■この記事を読んで頂きたい人■
・最近定年退職した人で、深い孤独と何とも言えない不安・虚しさにさいなまれている人

 

■この記事でわかること■
・定年退職後の不安や孤独感の解消法

 

今年(2023年)40年間のサラリーマン人生を終え定年退職した筆者が、定年退職後の不安や孤独感の解消法を老子の教えから解説します。

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職し、主に大規模遊休地の不動産開発に携わる 
2023年 子会社の不動産会社でサラリーマン人生を終える

        

 目次

老子の教え~その1

1.確かなものにすがろうとするから不安になる。あやうさを生きよ。

 生きるためには、あやうい「ものごと」や、あやうい「ことば」を、確固たるものと思い込んではならない。そんなことをすれば、あなたの生きる力が、失われてしまう。
(中略)
確かなものにしがみつこうとするから、確かなものに頼ろうとするから、あなたは不安になってしまう。

あなたには、そのあやうさを生きる力が、与えられいるというのに。

引用元:「老子の教え あるがままに生きる」(安冨歩著 ディスカヴァー トゥエンティワン)

老子 あるがままに生きる エッセンシャル版

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  • 作者:安冨 歩
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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2.定年退職者がすがるもの

①仕事~再就職は生きがいの悲しい代替品

   ヴィクトール・E・フランクル*1は、有名な著書「夜と霧」のなかで「人間という存在は、生きる意味を見失うと、精神が衰弱してしまうのみならず生命そのものまでもが衰弱し、ついに死に至ってしまうこともある」と述べています。

サラリーマンにとって生きる意味とは大方のひとが日々会社に行き神経をすり減らした対価として生きる糧としての給与を得ることでしょう。

世界的に見て働きすぎ(単に長く拘束されているだけかもしれませんが)の日本人は特にそうでしょう。

本当に自分が生きがいだと思えることに出会えず定年退職を迎えた人が、退職後は生きがいを持つべきだと言われても戸惑うだけでしょう。

そうなるとせっかく組織から解放されたにもかかわらず、安い給料でも自ら組織に戻る人も出てきます。

組織に拘束されて働くというニセの生きがいしか知らない人にとってはそれにすがるしかありません。

アウシュビッツの門「働けば自由になる」
②肩書~名刺は持ってるだけで安心できる紙切れ

どうしてもタテの人間関係から抜け出せない人達がいます。

定年後、例えば町内会やマンションの理事会で現役時代(管理職)の癖がでて、どうしても仕切りたがり皆に嫌われる人たちです。

なかにはタテ社会の必須アイテム、名刺がどうしても欲しくて安月給で再就職する人たちもいます。定年退職後のOB会で再就職先の名刺を誇らしげに見せ合う人たちです。

もう人生第四コーナー過ぎてるのにまだ組織の犠牲となって使う当てもない金を稼ぐ人たちは、名刺にすがってこれからどこに向うのでしょうか?

③お金~貯金は見て安心するだけの単なる数字

  人生100年時代、貯蓄2000万円問題で火がついて「老後資金の増やし方」に関する本が溢れている一方、今度は「90歳までに使い切る お金の賢い減らし方」(大江英樹著 光文社新書)なんていう本まで出てきました。

「いったいどうしろって言うんだ!」って言いたくなりますよね。

これだけ老後資金に関する本が出る理由は、不安を煽れば本は売れますし、数字の話(「質」ではなく「量」の話題)は書きやすいし理解されやすいのでこれまた売れるからでしょう。

いずれにしても供給者側の理屈です。

老後の生活費なんて人それぞれ千差万別です。

「いったい全体老後の生活費はいくらで、年金はいくらで、どれだけ貯蓄が必要なんだ?」なんて人に聞いても分かりません。

生活費は実際に自分で1カ月家計簿をつけてみれば予測はつきますし、年金定期便ではよく分からない年金受給額も地域の年金相談センター(要予約)に行けば親切に教えてくれます。

あとは自分の寿命をどう見るかです(これは自分でお決めください)。

ま~結論を言えば大方の人はマスコミやあなたの老後資金を狙っている金融機関が騒ぐほど心配はいりません。

老後の生活費は他でもないあなた自身にその使い道の決定権があるわけですから。

それに紫苑さん(シニアブロガー)という年金月5万円で生活している(持ち家)女性もいるわけですから心強いです。

定年後の生活を、「お金はいくら要るか」という単純な「量」的な問題に還元するのではなく、どういった価値観でどう自分らしく生きるかという「質」的な問題として捉えたいものです。

④健康~人間ドッグは健康確認の虚しいセレモニー

定年後もサラリーマン時代からの習慣で人間ドックなどの検診を受けてる方が多くいらっしゃることでしょう。

不思議なことに検診を受ける一週間ほど前から、お酒を控えたり規則正しい生活を心掛けたりと検査に備えていつもと違う生活を送る人がよくいます。

これってどうなんでしょうか? 

おそらくいい結果が欲しいんでしょうね。日頃の不摂生の言ってみれば免罪符にしたいのでしょう。

あるいは「俺は健康なんだ」という証明書が欲しいんでしょうか。

がん検診もがんの早期発見が目的ですが、検便の再検査は受検率が悪いそうです。受けない理由は痔が理由だと勝手に自己診断している人が結構いるそうです。

私は「やってはいけない健康診断」(近藤誠・和田秀樹著 SB新書)を6年前に読んで以来人間ドックは受診していません。

在職時代の法定検診も肺のレントゲン検査は少しでも被爆したくないので頑なに拒否してきました。

理由は健康診断と長生きをつなぐデータ(医学的エビデンス)が全く無いからですが、詳細は長くなりますので割愛します。

興味のある方はご紹介した本をお読みください。

いずれにしましても還暦過ぎれば癌も老化が主原因だと私は思います。日本の医療はいろんな老化現象(例えば高血圧)まで病気に仕立て上げます。

年を取ってじたばたしてもしょうがないでしょう。

病院で検査地獄や薬地獄に会うよりは、生活習慣の見直しをやれる範囲内で地道にやりましょう。

この歳では病院でいろいろ検査・治療を繰り返しても、もう安心という免罪符(健康証明書)は永遠にもらえません。

 

 

老子の教え~その2

1. ただただ生きればいい  

(前略)
天地は、ただただ、生きている。それゆえ、長生きできる。
同じように人も、ただただ、生きるべきなのだ。
そうすれば、長生きできる。
(中略)
無私であるからこそ、その「私」は成長しつづけ、
それゆえ、長生きしうるのではなかろうか。  

  引用元:同上    

2. 生き方のヒント

①未来ではなく今を生きる

ジャーナリストの稲垣えみ子さん(シンプルライフの達人)やフリーライターの紫苑さん(前出)の生き方にヒントがあります。

日々生活の中のさまざまな創意工夫や気づきが「生きがい」であり「生きる意味」になっています。

修行僧の作務(さむ、庭の掃き清掃や薪割りなどの労務)という修行も毎日の単純労働の中に創意工夫や気づきを見出すものです。

要するに「日常」を死んだ時間として過ごさないと言うことです。死んだ時間と考えてしまうと退屈で苦痛な時間を耐え忍ぶだけになります。

人間はどうしても先のことを考えてしまいます。

「これからまだ20年もある。何するんだ。」と言うことになりますが、心配ご無用、いっぺんに20年がやって来るわけじゃなありません。

日々コツコツと小さな楽しみや生きがいを積み重ねればいいのです。

②無常の世の中を好きに生きる

この世の中、第三者(専門家、評論家など)が定年後は○○すべきだとかああだこうだと言いすぎると思います。

単に本のネタにしているだけかと疑いたくなります。自分を苦しめているのは世間のこういった常識にとらわれている自分かもしれません。

「アリとキリギリス」の話もアリが立派でキリギリスがだらしないという常識的な解釈も再考の必要があるかもしれません。

困っている人しかも死にかけている人を見殺しにするアリを本当に子供たちが見習うべきなのか?〇か×か、白か黒かという二元論に終始すると苦しむことになります。

年金で生活できて何もやる気がなければ、朝からテレビで何がいけないのか? 

年金が足りなければ時給1000円で気ままにアルバイトで何がいけないのか?

時給1000円ならいくらでもバイトはあります。ブロガーなんかよりよっぽど確実に稼げます。

この世のものごとは常に変化します。あなた自身もそうです。同じ状況は永遠に続きません。

いくら考えても来年の今日自分がどうなってるか分かりません。全てお任せです。

これを忘れると悩みます。

このあやうさを懼(おそ)れる必要はありません。

まとめ

 私たちは老後という全く知らない海に放り込まれました。

どこかに島はないかと、いつしぼむかもしれない浮き輪(前述の「定年退職者がすがるもの」)にすがってやたらめっぽう泳ぐより、先ずは気力・体力を無駄に使わず浮いていることです。

日常を丁寧に暮らしていればいつかチャンスが来ます。出来ることから少しづつはじめましょう! 

 

 

*1:オースリア出身の精神科医・心理学者。「ロゴセラピー」の創始者。ナチスの強制収容所での凄惨な体験を記した『夜と霧』は世界的ベストセラーとして知られる。