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就活注意!ホワイト大企業たった一つの欠点とは?【インフラ企業の実態も解説】

「ホワイト大企業は、楽で給料もいいから就職したい」と安易に考えていませんか?

確かに、ネットで調べると出てくるホワイト大企業の特徴は以下のようなものですし、これは事実です。

・離職率が低い

・オフィス環境が整理されている

・福利厚生の充実

・残業が少ない、又はない、サービス残業もがない

・有給休暇の取得率が高い

・研修制度が整い、教育が充実している

・フレックスタイムなど柔軟な労働環境

・各種ハラスメント対策が徹底されている

・そして給与が高い

「ホワイト大企業はどうして手厚い福利厚生制度を設けられるのでしょうか?」

それは、”限定された市場を独占していたり、競争力が突出した優良な経営資源により経営が安定している”ため、経営に十分な「余裕」があるからです。

手厚い福利厚生と高い給与は「余裕」の良い面ですが、その反面である欠点はあまり一般には知られていません。

この記事では、意外と知られていない「余裕」が招く欠点について解説します。

■この記事を読んで頂きたい人■
・就活中の学生とその両親
 
 
■この記事でわかること■
①ホワイト大企業のたった1つの欠点とその理由
(注1)外資系企業は対象外です
(注2)ホワイト企業の子会社への就活も含みます

②典型的なホワイト大企業であるインフラ企業※の実態~7つの規範実例
電力、通信、道路、鉄道、水道、ダムなどがインフラ業界に含まれます。
 

ホワイト過ぎるインフラ企業で長年にわたる勤務経験がある筆者が、就活サイトの内容の薄い記事では分からないホワイト大企業のたった1つの欠点とインフラ企業の実態について解説します。

<自己紹介>

筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年

<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
<資格>
一級建築士(管理建築士)

 

      

 目次

ホワイト大企業たった一つの欠点とは?

ホワイト大企業は最も堅固な「共同体」

企業は本来、営利の目的を持った目的達成組織「機能体」ではなくてはなりません。

ところ日本のメンバーシップ型雇用*1は、企業を本来の組織とはかけ離れた居心地追求組織「共同体」に変えてしまいました。

メンバーシップ型雇用の前提となる終身雇用制と年功序列制が社員を固定化、同質化するためです。

「機能体」と「共同体」の違いを、堺屋太一著「組織の盛衰」を参考にして下の表にまとめました。

特に”限定された市場を独占していたり、競争力が突出した優良な経営資源により、凡庸な社長でも経営が安定している”ホワイト大企業は、他社との競争が少ないことから社員の意識が内に向かいやすいため「共同体」の度合いが高まります。

メンバーシップ型雇用の日本企業はどこでも多かれ少なかれ「共同体」ですが、その中でもホワイト大企業は最も堅固な「共同体」です。

日本独特の「共同体」型経営は、工業社会時代(1980年代以前)~すなわち人口増に伴う内需によりモノをつくれば簡単に売れた少品種大量生産時代*2 と相性の良い経営方式です。

ポスト工業社会時代(GAFA*3時代)になって久しい今の時代、「共同体」型経営では閉塞感を生むだけです。

 

 

 

「共同体」の4つの閉塞感とは?

①同調圧力と会社独自の古い規範(ルール)が生む閉塞感

長年にわたる閉鎖的な環境によって独自の規範(ルール)がつくられ、その規範が会社の常識になっています。

また、終身雇用制度による社員の固定化と同質化で生まれる強力な同調圧力のために、社員は従順にその規範に従うことになります。

しかし、閉鎖社会で出来上がった長い歴史を持つ規範は、世間一般の常識から逸脱していることが多いため、大半の社員は不満を持っており閉塞感を感じています。

この会社独自の歪んだ規範に関しては、次項でホワイト大企業の代表格であるインフラ企業の実例を解説します。

②「個」の組織への埋没と裁量権の無さが生む閉塞感

相も変わらず「一致団結」「みんなで力をあわせて」という工業社会時代(1980年代以前)の考え方に支配されています。

これは、かつてのキャッチアップ型経済*4と相性が良い働き方です。

ポスト工業時代(GAFA時代)は「個」の力の時代です。

GAFA時代になって久しい今になっても「個」の裁量権を認めない働き方は、超時代遅れと言うほかありません。

③新しいことにチャレンジできない閉塞感

創造性豊かな、ある種尖がった提案や人物は、即刻排除されます。

公平性と安住性を優先するため、現状維持が第一になるためです。

リスクをとるという考え方がないためチャレンジは「悪」になってしまいます。

決まりきったルーティンワークか、やってもやらなくても大差ないノーリスクの仕事しかありません。

官僚的(権威主義で形式的な手続き重視)で仕事のやりがいはありません。

④不条理な情意評価が生む閉塞感

人事評価は、評価者の主観による好き嫌いで決まる情意評価です。

もちろん評価方法は明文化されており、客観的に評価されたかのように書類は整えられています。

しかし、評価項目を多くした方が客観的に評価できるという人事部の思い込みのために、評価方法が複雑になり過ぎてかえって客観評価が難しくなり、実質的には主観的な情意評価になってしまいます。

組織の同調圧力に従順に従い、忖度上手で、「一致団結、がんばる」人は評価されますが、創造的な発想で意図せず「共同体」の居心地を乱す人は評価されません。

なお、情意評価の好き嫌いには、学歴と性別も含まれます。

たった1つの欠点は閉塞感が生む「仕事のやりがい」の無さ

以上4つの閉塞感に満たされた「共同体」~ホワイト大企業では、「仕事のやりがい」を感じることは困難です。

そして、皮肉なことに、ホワイトであればあるほど、「仕事のやりがい」が無くなります。

長いサラリーマン生活にとって「仕事のやりがい」の無さは、致命的とも言えます。

①同調圧力と会社独自の古い規範(ルール)が生む閉塞感

②「個」の組織への埋没と裁量権の無さが生む閉塞感

③新しいことにチャレンジできない閉塞感

④不条理な情意評価が生む閉塞感

    ⇓

仕事のやりがいの無さ

 

 

典型的なホワイト大企業であるインフラ企業の実態~7つの規範実例

インフラ企業の閉塞感漂う静か過ぎる職場のイメージ

①選別された素人集団ジェネラリストが主要ポストを独占

入社時に「選別主義」で選らばれたジェネラリストは将来が約束されており、短いタームで主要なポストを巡るキャリアパスが用意されています。

そのため仕事に関しては素人集団です。

ジェネラリストが上司になると、単なる業務の説明やその説明を聞いて彼が思いついた素人アイデアへの対応が必要となります。

素人集団ジェネラリストの存在がブルシットジョブを生みます。

②「集団無責任体制」で責任は曖昧のまま

皆で協力し合う「一致団結」方式では、「個」の責任範囲が不明確です。

そのため知らず知らずのうちに、「集団無責任体制」というイデオロギーが蔓延してしまいました。

だれも何の疑問も持たない無責任感覚の病魔に、組織が深く冒されています。

失敗しても誰かが責任をとったためしがありません。

③独創性と無縁の前例主義

前例に従って事を進めれば、失敗しても言い訳できます。

やったことが無いことをやって、もし失敗したら大変です。

ですから前例がない施策は、トップが言い出したもの以外はGOサインは出ません。

しかし、トップが前例のないことを言いだすと大変です。

今度は、やったことが無いことを絶対失敗しないように計画しなくてはなりません。

そんなこと人間には不可能です。

④保身のための形式的なコンプライアンス

何かコトが起きた時は、言い訳できることが重要です。

「ちゃんと法令遵守やってました。これは想定外でした。」

毎年、あの手この手で細かくなる内部監査は、保身のためのパフォーマンスです。 

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⑤コストを無視した安心安全の完璧主義

「管理を効率化して、事故が起きたらどうするんだ?」

この脅し文句で、管理の完璧さはエスカレートしていきます。

「コストとリスクの合理的な比較」無き管理が生むムダは、膨れ上がるばかりです。

利益を生まない管理部門の自己目的化した完璧主義の勢いは、とどまる所を知りません。

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⑥人事評価は不条理な情意評価と身分制度で決まる

売上が安定しているインフラ企業の業務はルーティンワークが多いため、明確な成績の差はでません。

したがって、インフラ企業の業績評価は、業績よりも人物の恣意的な評判で決まります。

その評判に影響を及ぼすのが系統の序列です。

系統とは、事務系と技術系、さらに技術系は、例えば土木系、機械系、電気系のように分かれており、その系統間には序列があります。

系統の序列は、系統を構成する社員数で決まります。

同じような能力を持っている社員は、系統が上の者がより評価されます。

これは、系統によって人事評価が左右される身分制度です。

また、系統の数の力が人事評価に影響を及ぼすため、効率化による人員削減が進みません。

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⑦「減点主義」から抜け出せない消極集団

「加点主義」の号令は、入社式での社長のセリフとしての意味しかありません。

「加点主義」なんて真に受けて、プロジェクトをボトムアップ方式で進めようとしたら袋たたきに会うだけです。

「加点主義」の評価システムが明確になっていないので、仮に成功しても、それに見合った評価はされません。

失敗のリスクしか無いチャレンジを周りは迷惑がるだけです。

超ホワイトなインフラ企業では、何もしない方が得です。

同志社大学教授 太田肇著「何もしないほうが得な日本」に書いてある通りです。

 

 

まとめ

ホワイト大企業のたった一つの欠点とは「仕事のやりがい」の無さです。

以下の4つの閉塞感に満たされた「共同体」であるホワイト大企業では、「仕事のやりがい」を感じることは困難です。

長いサラリーマン生活にとって「仕事のやりがい」の無さは、致命的とも言えます。

①同調圧力と会社独自の古い規範(ルール)が生む閉塞感

②「個」の組織への埋没と裁量権の無さが生む閉塞感

③新しいことにチャレンジできない閉塞感

④不条理な情意評価が生む閉塞感

    ⇓

仕事のやりがいの無さ

典型的なホワイト大企業であるインフラ企業の実態~7つの規範実例です。

①選別された素人集団ジェネラリストが主要ポストを独占

②「集団無責任体制」で責任は曖昧のまま

③独創性と無縁の前例主義

④保身のための形式的なコンプライアンス

⑤コストを無視した安心安全の完璧主義

⑥人事評価は不条理な情意評価と身分制度で決まる

⑦「減点主義」から抜け出せない消極集団

ホワイト過ぎるインフラ企業の実態は、やや特別な面があるかもしれませんが、どの業界のホワイト大企業も多かれ少なかれ「共同体」の閉塞感はあります。

給与や福利厚生面の良さというメリットだけに目を奪われるのではなく、デメリットにも充分注意して、自分に合った就活先を選ぶことをおすすめします。

なお、この記事は、ホワイト企業の大企業病|7つの症例と若手社員が辞める4つの理由から一部を引用しています。

 

 

*1:メンバーシップ型雇用とは、先に人材を確保し、後から仕事を割り当てる雇用方式です。日本の企業の多くは、終身雇用を前提としてメンバーシップ型雇用を採用しています。メンバーシップ型雇用は、年功序列や終身雇用の特徴を持ち、日本の企業にとって長年の伝統的な雇用形態です。

*2:参考文献:藻谷浩介著『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』

*3:GAFAとはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4社の頭文字をとってつくられた言葉です。

*4:キャッチアップ型経済とは、経済の発展や技術水準が他国に追いつくことを指します。