仕事、家庭、恋愛、コンプレックスなどなど悩みは尽きませんが、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーによると悩みの根本原因は、100%が対人関係です。
想像してみてください。
この地球上であなた一人になれば、全ての悩みは存在しません。
そして、
あなたが悩みの原因だと思っている現象自体があなたを悩ませているのではなく、悩ませているのは、それに対するあなた自身の「考え」です。
「そもそも人間とはどういう動物なのか?」
「なぜ対人関係が悩みを生むのか?」
「あなたを悩ませている「考え」をどう変えればよいのか?」
こんな疑問にお答えします。
②気分転換などの悩み緩和法ではなく、悩みの根を断ちたい人
②対人関係が悩みを生み出す2つの理由
③悩まないための5つの思考習慣
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2923年 退職
目次
悩みを生む「ヒト」という動物の3つの本性
①「欲望」という凶器を持つ動物
「あれは、けだもののような行い」なんてよく言いますが、動物は殺すこと自体を目的に殺生しません。
性行為は全て生殖のためで、欲望を満たすためにレイプはしません。
自分の命を守るために、だますことはありますが(擬態)、自分の欲望のためにだますことはありません。
こういった行為は、ヒトだけが行う行為です。
動物は「欲求」しかありませんが、人は「欲求」を超えて「欲望」を持つようになりました。
「欲求」は身体が求めるもので、「欲望」は頭(=脳)が求めるものです。
「ヒトとは地球上でもっともキケンな動物」という認識が必要です。
②恣意的な規範で生きる動物
ヒトはそれぞれ自分独自の恣意的な規範の則って生きています。
「恣意的」とは、「気ままで自分勝手なさま」や「論理的な必然性がなく、思うままにふるまうさま」です。
ですから人間関係を成立させるには、多かれ少なかれ互いに歩み寄り、各自の規範を調整する必要があります。
一方的に合わせることを強制される場合、それを同調圧力と言います。
今の生きづらさは、同調圧力が一因であることは議論の余地がありません。
③自分のメガネを通して世界を認識する動物
ヒトには、ものごとをそのまま素直(客観的)に認識する能力はありません。
実は、科学の世界でもそうです。
科学は仮説を設定し、それを実証実験するわけですが、仮説を設定した段階で認知バイアスに侵されます。
自分の立てた仮説にとって都合のよいデータしか、目に入らない心理的傾向に傾きます。
そういう意味での無意識的なデータ捏造は、日常茶飯事でしょう。
世界を「脳」を通して見るヒトは、どうしてもなんらかの認知バイアスに侵されます。
同じ世界を見ていても認識している世界は、ヒトそれぞれ違います。
ですから「なんでわからないんだ?」と躍起になってもしょうがないわけです。
対人関係が悩みを生む2つの理由
①承認欲求
ヒトは他人から「嫌われたくない」「褒められたい」「認められたい」という承認欲求のために悩みます。
前述したように「ヒトというキケンで恣意的で自分のメガネで世界を見る動物」に認められ、嫌われないようにするのは、至難の業です。
だれからも嫌われたくなければ、あらゆる同調圧力に屈して、「自分」をやめなければなりません。
職場、学校などのイジメ問題や各種ハラスメントも、根本にあるのは承認欲求です。
イジメるのはダメと分かっていても、イジメる側に与するのは多数派の承認を得るためですし、部下を暴言により無理やり従わせるのも上司のいびつな承認欲求のせいです。
②他人との比較
どんな小さな差であってもヒトは他人との差異にこだわります。
そこにつけ込んで勢力を増し、衰える気配を見せないのが「資本主義」です。
「資本主義」における欲望は、他人に差異をつけること、他人との差異を埋めることに収斂します。
会社組織の「人事評価制度」も、差異に敏感なヒトの本性をうまく利用して、会社の組織権力に社員を隷属させます。
サラリーマンは他人との地位の差異を広げたり、他人との地位の差異を埋めるために、会社の組織権力に忠誠を誓い、言いなりになるのです。
各種コンプレックスは分かりやす例ですし、また、一見関係ないように感じる、老化の悩みや健康上の悩みも突き詰めれば、他人との比較(差異)に収斂します。
悩まないための5つ思考習慣
①「絶望」本当の意味を知る
駅でプラットホームを間違えたり、バス停を間違えたとき、いつまでもそこで待っていますか?
本来待つべきプラットホームやバス停に移動しますよね。
所属している組織の人間関係に行き詰まったら、「絶望」して次に進みましょう。
すなわち居場所を変えるのです。
例えば、転職する。
無理なら、配置転換や子会社出向を希望する。
そこまでしなくても、別の居場所(趣味、サークルなど)に生きがいを見い出す。
望みを絶つ(絶望)とは、新しい行動を起こすチャンスのことです。
以下、泉谷閑示著『「普通がいい」という病』から引用します。
つまり、本当に「絶望」した時、人は「執着」を去り、「自由」になるのです。
それはもはや、そこで当てにして待たなくてもよい「自由」です。
そして本当に必要な行動を、主体的に自分が行っていけるのです。
②世の中は無常と心得る
情報化社会とよく言いますが、「情報」は固定化しています。
つまり「情報」は時間とともに変化しません。
(逆に固定化しているので、他人に伝えることができるとも言えますが)
したがって、「ニュース(情報)」も全て過去の出来事であり、今どうなっているかは分かりません。
ということで、「情報」と常に接している我々現代人は、絶えず世の中が変化していること(無常)に鈍感です。
世の中は無常であり、決して今の状態は続きません。
おカネや人気、権力は極限まで集まれば、こんどは減少していきます。
嫌な上司も一生あなたの上司ではありません。
③自然との関係に幸せを見い出す
ヒトの心は自分の心も含めコロコロ変わります。
コロコロ変わるので心は「こころ」になったという説もあります。
人間関係に疲れたら自然に目を向けましょう。
ヒトと違って自然は裏切りません。
日が昇らない日はありませんし、春夏秋冬、季節は必ず規則正しくめぐってきます。
善いことばかりではありませんが、自然には絶対性があります。
その絶対性が我々に安心感をもたらします。
ペットが癒しをもたらすのも、ペット(動物)という自然がもたらす安心感です。
「友だちに認められたい」「誰かに愛されたい」「誰かに感謝されたい」など、人間関係の中だけに幸せを見つけようとする現代人は、必ず悩むことになります。
前述したように「ヒトというキケンで恣意的で自分のメガネで世界を見る動物」との関係の中だけに幸せを見い出すのではなく、自然との関係のなかにも幸せを見いだしましょう。
④4つの質問で認知バイアス解消する
ヒトは差異にこだわり恣意的(いいかげん)にその差異に優劣を決めます。
たとえば、肌の色が白か黒かは、本来、原理的には等価です(優劣はありません)。
イケメンや美女が必ず幸せになるとも限りません。
金持ちであるがゆえに、不幸になる人もいます。
人間社会の優劣は全てフィクションです。
このような常識となっている認知バイアスを破壊し、価値転換はいくらでも可能です。
バイロン・ケイティ著「ザ・ワーク」は、4つの質問で認知バイアスを破壊し、価値転換するための具体的な指導書です。
4つの質問を投げかけることで、あなたの中にある本当の答えが見つけられます!
1.それは本当でしょうか?
2.その考えが本当であると、絶対言いきれますか?
3.そう考えるとき、(あなたは)どのように反応しますか?
4.その考えがなければ、(あなたは)どうなりますか?
⑤嫌われる勇気を持つ
承認欲求の呪縛にとらわれれば、忖度などで不自由な人生となり、悩むことになります。
例えば、出世競争で悩んでいる人は、「評価するのは自分ではなく他人である」と割り切るのです。
評価は、他人の課題です。
他人が行うことは、自分ではどうしようもありません。
自由に自分の人生を生きるためには、忖度しないことで嫌われても、しょうがありません。
まとめ
「ヒト」という動物が持つ3つの本性です。
✔「欲望」という凶器を持つ動物
✔恣意的な規範で生きる動物
✔自分のメガネを通して世界を認識する動物
人間関係が悩みを生み出す2つの理由です。
✔承認欲求
✔他人との比較
悩まないための5つの思考習慣です。
✔「絶望」本当の意味を知る
✔世の中は無常と心得る
✔自然との関係に幸せを見い出す
✔4つの質問で認知バイアス解消
✔嫌われる勇気を持つ