2021年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法には、65歳から70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずるべき努力義務が新たに加わり、ベテランサラリーマンへの「働け」という圧力が増しています。
その一方で、既に崩壊したと言われながら惰性で続けてきた終身雇用と年功序列のしわ寄せが、役職定年制度や早期退職制度として現われ、大企業のベテランサラリーマンは働き辛くなっています。
50~60代で転職しても、末端労働に毛が生えた程度の仕事しかありません。
大企業のベテランサラリーマンは、「定年後の3種の神器」を早めに準備して、早めに会社を辞めましょう!
(注)不労所得が相当額ある方や資産家の方は対象外です
②「定年後の3種の神器」を早めに準備するには?
65歳定年の2年前に会社を辞めた筆者が、65歳定年まで働きたくない人の「定年後の3種の神器」について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
「定年後の3種の神器」とは?
①健康を維持できる生活習慣
「健康を維持できる生活習慣」は次のように表すことができます。
「運動習慣」+「食事と睡眠の習慣」
「運動習慣」と「食事と睡眠の習慣」それぞれについて解説します。
1)運動習慣
定年後の健康寿命を延ばす大切な要素の一つが運動習慣です。
そして何より重要なことは、続けられることです。
続けられるスポーツの特徴は次の通りです。
①高齢になってもできるスポーツ
②仲間と楽しめるスポーツ
③定められた曜日と時間で行われるスポーツ
④低料金でできるスポーツ
以上4つの特徴を持つ定年後におすすめしたいスポーツ2選です。
①スポーツクラブのスタジオプログラムを楽しむ
②卓球教室または卓球サークルで卓球を楽しむ
詳細は、定年後におすすめしたいスポーツの特徴とおすすめスポーツ2選をご覧ください。
2)食事と睡眠の習慣
食事と睡眠の習慣は、以下により改善することが有効です。
①食事と睡眠の規則正しいリズムを取り戻すには「体内時計」が有効
②腸内環境を改善し、太りにくい体質を手に入れるには「和食」中心の食生活が有効
「運動習慣」と「食事と睡眠の習慣」は、生活習慣の両輪です。
「食事と睡眠の習慣」で、運動の疲労をしっかりリカバリー(回復)しないと、かえって怪我や不調につながります。
筆者は、歳を取ったら運動よりリカバリーの方が重要だと感じています。
詳細は、食事と睡眠の習慣改善は50代から!その理由と改善方法を経験者が解説をご覧ください。
②老後資金が心配にならない収支バランス
「老後資金が心配にならない収支バランス」は次のように表すことができます。
年金+貯蓄額≧生活費+住居費+予備費(旅行など娯楽費、医療費、介護費用など)
この式を以下のように2つに分解して解説を進めます。
1)年金≧生活費
2)貯蓄額≧住居費+予備費(旅行など娯楽費、医療費、介護費用など)
1)年金≧生活費
年金受給額に恵まれている大企業サラリーマンは、年金の範囲内で生活することが必須です。
そのためには「脱・消費脳」を実現し、会社でのストレス解消や見栄のための浪費は一切やめる必要があります。
2)貯蓄額≧住居費+予備費(旅行など娯楽費、医療費、介護費用など)
ます住居費ですが、マイホームがある前提で話を進めます。
住居費が退職後に必要となるかどうかは、老後の収支バランスに大きな影響を及ぼします。
ローンが退職後に残る場合は繰り上げ返済を、築年数が古い家の場合は修繕を現役の内に済ませておくことをおすすめします。
退職後の住居費は諸税と保険料程度になるよう、現役の内に対策を終えておくことが重要です。
そすれば、貯蓄額は予備費(旅行など娯楽費、医療費、介護費用など)で充分です。
また、「健康を維持できる生活習慣」が身に付けば、医療費と介護費はかなり抑えることが可能です。
③毎日やる事と行く場所
「毎日やる事と行く場所」は次のように表すことができます。
生きがい(趣味)+暇つぶし(日課)
定年後の生きがいは、以下の理由により定年前に見つけるべきです。
会社を離れて、心の空白を急に何かで満たそうとしても、仕事中心の生活を送っていた人は、仕事以外のことでは満たされず、社会との断絶感と孤独感に苛まれる
定年後の生きがいを見つけるには、以下の4ステップが有効です。
Step1:現役のうちに「仕事が生きがい」は卒業する
Step2:「好きや得意」より「大切さ」で選ぶ
Step3:あれこれ考えず先ずやってみる
Step4:それでも見つからない場合は「暇つぶし」を探す
詳しくは、【生きがいの見つけ方】定年後の生きがいは定年前に見つけるべき理由をご覧ください。
「定年後の3種の神器」を早めに準備するには?
①出世競争から早めに降りる
伝統的大企業(JTC)には、封建時代のような厳格な身分制度が確立しており、実力優先の平等な出世競争は存在しません。
また、古き良き経済成長時代(1980年代以前の工業社会時代)の悪しき慣習「選別主義」で、幹部候補は入社時に選別済みです。
50代になってまだ未練のある方は、早く見切りをつけて「定年後の3種の神器」の準備に取りかかった方が賢明です。
②「静かな退職」を早めにを選択する
「静かな退職」とは、2022年にアメリカのキャリアアドバイザーがTikTokで提唱し、その後他のユーザーによる動画が話題となり、日本でも注目されるようになった言葉です。
ただアメリカから日本に来たのは、「Quiet Quitting(静かな退職)」という言葉だけで、この働き方自体は、日本でもずいぶん前からあります。
筆者自身も40代後半から「静かな退職」状態でしたし、筆者の職場では年齢を問わず多くの社員がそうでした。
「静かな退職」の3つの特徴は以下の通りです。
①昇格(出世)を目指さない
②言われたこと以上の仕事はしない(言われたことはしっかりやる)
③実際に退職する気はない
「静かな退職」は、定年退職前の社員のように余裕をもった精神状態で働くことを意味し、昭和のモーレツ社員*1とは正反対の社員です。
人余りの50代ともなれば、まともな業績評価は全く期待できません。
また、年功序列のせいで、若いころは安い給料で会社に尽くしてきた訳ですから、50代では「働かないおじさん」となって「定年後の3種の神器」の準備に取りかかるべきです。
③役職定年を積極的に利用する
ほとんどの大企業の50代には、役職定年が待ち受けています。
役職定年制とは、管理職が所定の年齢(55~60歳が多い)に達した時に、ラインから外れて役職を離れ、給料も減額される制度のことで、はっきり言いますとポストの新陳代謝と人件費削減を図るための「潜在的余剰人員宣告」です。
これまで滅私奉公で会社に尽くしてきても、最後にこれではバカバカしくてやっていられません。
役職定年になったら切換えて、「定年後の3種の神器」に注力しましょう。
まとめ
✔「定年後の3種の神器」とは?
①健康を維持できる生活習慣
②老後資金が心配にならない収支バランス
③毎日やる事と行く場所
✔「定年後の3種の神器」を早めに準備するには?
①出世競争から早めに降りる
②「静かな退職」を早めに選択する
③役職定年を積極的に利用する
*1:「モーレツ社員」は、昭和時代に使われた言葉で、猛烈に仕事に打ち込むサラリーマンを指します。これは、家庭や私生活を犠牲にして会社に人生を捧げる姿勢を形容した言葉です。高度経済成長期の日本では、なりふり構わず会社のために尽力する社員の姿を表現した言葉として使われました。