「最近トップがダイバーシティ経営にご執心だけど、ホントに意味わかって言ってるの?」
「男女間の格差も全然なくならないのに・・・😒」
「前近代的な身分社会の日本企業に、ダイバーシティ経営なんてありえる????」
こんな疑問にお答えします。
①日本企業のダイバーシティ経営の取組み実態
(注)外資系企業は対象外です
②日本企業がダイバーシティ経営を絶対導入できない根本原因
ダイバーシティ経営と真逆な、前近代的身分制度が残る企業に長年勤務経験がある筆者が、ダイバーシティ経営の実態|日本企業がダイバーシティ経営を絶対導入できない理由について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
ダイバーシティ経営の実態
①ダイバーシティ経営とは?
ダイバーシティ経営とは、経済産業省によると「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」です。
以下、経済産業省のホームページから引用します。
「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。
②ダイバーシティ経営の現状
経済産業省の新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集を読みましたが、どの取り組みも「なんちゃってダイバーシティ経営」とでも言うべき本気が感じられない取組みばかりです。
女性管理職や障害者雇用を少しばかり増やしたり、LGBTの権利にも取り組む姿勢を見せるのがやっとです。
女性への差別だけでも、世界との差が縮まらないどころかむしろ広がる日本(男女間の社会的な性差を示す日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中、125位(2023年)、順位は2006年の公表開始以来、最低。)の企業が、その他の多様性を受け入れられるはずがありません。
外国人の採用にしても、人手不足(主に末端労働)が原因の採用(下のグラフ参照)や海外部門に現地の外国人を雇っているだけで、本来の趣旨とは全く違うのが実態です。
外国人労働者は増えていますが、ダイバーシティ経営とは関係の無い末端労働の人手不足が原因
引用:在留資格別外国人労働者数の推移|令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-|厚生労働省
日本企業のダイバーシティ経営の取組みは、各社横並び意識による企業イメージ施策であり、本来の目的とは異なっています。
残念ながら手段と目的が逆転していると言わざるを得ません。
こんな「一位団結、ダイバーシティ運動」はブルシットジョブ以外の何物でもありません。
・我も我もと何でもかんでも参加して、企業のイメージアップに躍起になっている姿が痛々しいですね。
・「ベストプラクティス集」に『活躍している社員』なんて言うわざとらしいコーナーがあります。ここには、女性社員や人手不足で雇った東南アジアの人が紹介されています。(笑)
日本企業がダイバーシティ経営を絶対導入できない理由とは?
日本企業がダイバーシティ経営を絶対導入できない理由は次の通りです。
日本の企業はメンバーシップ型雇用*1によって閉鎖的で同調圧力が強い「共同体」を形成しており、これはダイバーシティ経営の哲学とは根本的に相反している
日本企業は、先ず社員を固定化・画一化するメンバーシップ型雇用から社員の流動性と多様性がある雇用形態、例えば同志社大学教授 太田肇氏が提唱する「自営型」のような新しい働き方にパラダイムシフトすることが先決です。
メンバーシップ型雇用を変えて「共同体」を解体し、本来のあるべき姿「機能体」にならなければ、意味あるダイバーシティ経営の導入は構造的にとても無理です。
「機能体」と「共同体」の違いを、堺屋太一著「組織の盛衰」を参考にして下の表にまとめました。
日本企業のダイバーシティ経営の実態は、「共同体」を解体しないまま、ちょっとだけメンバーを増やしたか、もしくは増やしたフリをしただけです。
また、外国人材から見たメンバーシップ型雇用のデメリットは以下の通りです。
①職種や仕事の内容が不安定である(やりたい仕事ができる保証が無い)
②異動や転勤が頻繁にあるため、一定の地域に定着することが難しい
③新卒の給料が一律である
メンバーシップ型雇用は、少品種大量生産の工業社会時代(1980年代以前)に相性の良かった雇用形態であり、現在のポスト工業社会時代(GAFA*2時代)には通用しません。
大企業では「共同体」の居心地を乱す”優秀”な社員は評価されません(消極的排除)。
こんなことでは、ダイバーシティ経営なんてとんでもありません(笑)。
まとめ
✔日本企業のダイバーシティ経営の実態です。
日本企業のダイバーシティ経営の取組みは、各社横並び意識による企業イメージ施策であり、本来の目的とは異なっている
✔日本企業がダイバーシティ経営を絶対導入できない理由です。
日本の企業はメンバーシップ型雇用によって閉鎖的で同調圧力が強い「共同体」を形成しており、これはダイバーシティ経営の哲学とは根本的に相反している
メンバーシップ型雇用は、ダイバーシティ経営の導入を妨げるだけでなく、「低い従業員エンゲージメント」や「仕事のやりがいに無さ」の原因にもなっています。