「大企業(JTC)に就職したら人生の勝ち組ですね😉」
人生は、そんな単純なものではありません。
※JTCとはJapanese Traditional Companyの略で、古い体質の日本の伝統的な大企業を揶揄するネットスラング
(注)偏差値70以上の学歴を持つ、主に文系の方は対象外です。
②人生の勝ち組と言えない点
③真の勝ち組になるには?~2つの選択肢
大企業(JTC)で長年の勤務経験がある筆者が、【就活】大企業(JTC)に就職したら本当に人生の勝ち組と言えるのか?について解説します。
<自己紹介>
筆者本人(1960年生 2023.11撮影)
筋トレ歴16年 ボクシング歴10年
<筆者略歴>
1984年 東京大学工学部建築学科卒業後、ゼネコンに入社
1988年 インフラ企業に転職
2018年 子会社の不動産会社に転籍
2023年 退職
目次
人生の勝ち組と言える点
大企業(JTC)に就職すれば、世間一般よりも高い給与など恵まれた待遇と高いステータスを得ることができます。
例え、50代以降にみじめな役職定年を迎えて、役職と部下をはく奪され給料を減額されても、世間一般と比べれば、多額の退職金と年金受給額で定年後も安泰です。
人生の勝ち組と言える点は、世間一般と比べて高い年収と社会的ステータスです。
しかし、そういった「大企業神話」が、これからも長く続く保証はありません。
人生の勝ち組と言えない点
大企業(JTC)では、「優れた人材を評価し選抜することは当然だ」というイデオロギー(選別主義)によって社員を選別して処遇に差をつけます。
具体的には、採用時に選別した一握りのエリート(東大法学部卒など権力者と同じような経歴)を幹部候補として育成し、それ以外の者には昇進の道を閉ざしてしまうのです(参考文献:太田肇著『選別主義を超えて』)。
従って、大企業(JTC)の大部分の社員は世間一般より恵まれた待遇と引き換えに、その一部の特権階級エリートにお仕えする「奴隷」としてのサラリーマン人生を歩むことになります。
そして「奴隷」階級の中での出世競争を勝ち抜くには、特権階級エリートへの並外れた忠誠心と忖度が必要です。
人生の勝ち組と言えない点は、「自分」を捨てて「奴隷」としてのサラリーマン人生を歩まなければならないことです。
一握りのエリート幹部候補も権力への忠誠心と忖度からは逃げられません
エリート幹部候補たちのトップ争奪競争は、「奴隷」のそれとは比較にならないほどの過酷さです。
トップの信頼を失わないよう、忖度と忠誠心には細心の注意を払う必要があります。
以下、福永光司著『荘子』から引用します。
世間的な栄達などは、権力者の尻の穴の痔を舐めるような精神の屈辱のなかで得られるものだ。
忖度とは、自分の人生を放棄し、忖度する相手の人生を歩むことを意味します。
ライバル意識とプライドが異常に高い彼らの胸の内を察するに、彼らが本当に「人生の勝ち組」と言えるかどうかは疑問です。
真の勝ち組になるには?~2つの選択肢
Plan A:出世競争を放棄して、自分の規範で自由に生きるという選択
「ライバルより良い成果さえ出せば、評価されて出世できる」なんて単純に考えたら大間違いです。
大企業(JTC)に合理的で公正な業績評価は存在しません(関連記事:【大企業の不条理】業績が適正に評価されない2つの理由と2つの対処法)。
評価されて出世しようとすれば、上司(評者者)の「奴隷」になる必要があります。
出世できても「自分」を捨てた「奴隷」では、本当に「人生の勝ち組」と言えません。
Plan Aは、出世競争を放棄し、屈辱的な忖度や忠誠を強いられない自由なサラリーマン人生を選ぶ道です(関連記事:【大企業の出世競争】 早めに降りた方がよい3つの理由【出世レースの実態】)。
筆者は、このPlan Aを選択しました。
Plan B:前近代的な大企業(JTC)には就職しないという選択肢
大企業(JTC)の身分制度(「特権階級エリート」と「奴隷」)が成立している原因は次の通りです。
・大企業(JTC)のトップである「すごろく上がりのサラリーマン社長」は、決して経営のスペシャリストではない
・凡庸な経営者である彼らは、「任期中、大過なく過ごす」ことに終始し、リスクを取って企業成長を目指すことはない
・そのため、管理的な業務や代り映えのしない仕事しかなく、創造力や決断力に欠ける優等生タイプの特権階級エリートでも仕事が回ってしまう
要するに、大企業(JTC)の身分制度(「特権階級エリート」と「奴隷」)が成立している根本原因は、経営者としては凡庸な「すごろく上がりのサラリーマン社長」の存在ということになります。
従ってPlan Bは、トップが「すごろく上がりのサラリーマン社長」ではない企業に就職するという選択肢です。
次のような企業のトップは、起業家や外部から招へいされた経営のスペシャリストです。
このようなリスクを取って企業成長を目指す企業は、学歴だけがモノを言う甘い世界ではありません。
新卒で入社すると仕事は厳しいものがありますが、それに見合う市場価値の高いスキルが身につくことは間違いありません。
なぜJTCは凡庸なサラリーマン社長でも潰れないのか?
3つの理由です。
①社長の能力とは無関係の恵まれた経営資源(下請けからの搾取構造を含む)
②給料を上げずに、社員(特に非正規)から搾取し続けて貯め込んだ厚い内部留保
その証拠が、世界的に見て低い日本の賃金水準です(下図参照)。
【OECD加盟国35カ国の平均年収ランキング】凡例:日本赤OECD平均青
給与を抑制し、内部留保を増やすことで、どんなに怠慢な経営であっても、容易には現在の体制が崩壊しないような構造が築かれています(下図参照)。
【内部留保と粗利に占める人件費比率】凡例:内部留保青人件費率ピンク
引用:積みあがる内部留保|リクルートワークス研究所 (works-i.com)
③政権を守るために潰れるべきJTCを税金で救ってリスクを先送りしたり、票や政治献金と引き換えにJTCを優遇する悪政政党『自民党』政権
自民党議員と大企業(JTC)の特権階級エリートは体質がそっくりです。
国民や社員の為ではなく、自分たちの利権や特権を守ることしか考えていません。
まとめ
✔人生の勝ち組と言える点です。
世間一般と比べて高い年収と社会的ステータス
✔人生の勝ち組と言えない点です。
「自分」を捨てて「奴隷」としてのサラリーマン人生を歩まなければならないこと
✔真の勝ち組になるための2つの選択肢です。
Plan A:出世競争を放棄して、自分の規範で自由に生きるという選択
Plan B:前近代的な大企業(JTC)には就職しないという選択肢